『お姉ちゃんの翠くん』の主題歌はtimeleszの新曲、主演アイドルが自分のグループで主題歌も歌う少女マンガ映画をたどる
目黒あむさんの少女マンガを実写化した映画『お姉ちゃんの翠くん』の本予告映像と、主要キャラクター4人のポスターが2026年10月22日に公開されました。あわせて、主題歌がtimeleszの新曲「本当のことを言うと」に決まったことも発表されています。
主人公の翠くんを演じるのは、timeleszの橋本将生さんです。つまり今回は、主演の俳優が所属するグループそのものが主題歌を歌う形になります。橋本さんはコメントで、timeleszの楽曲が自分の初主演映画の主題歌になることは「一つの夢でもあった」と語りました。
実はこの「主演も主題歌も同じグループ」という組み合わせは、少女マンガの実写映画ではこの10年ほどですっかりおなじみになっています。では、どんな作品がこの形で公開されてきたのでしょうか。映画の概要を押さえたうえで、主な作品を公開順にたどります。
映画『お姉ちゃんの翠くん』の本予告と主題歌の中身
『お姉ちゃんの翠くん』(目黒あむ/集英社)は、『別冊マーガレット』で連載されているラブストーリーです。女子高生のスイが、姉・桃の恋人で7歳年上の翠くんを好きになってしまう物語で、公式サイトによると累計発行部数は160万部を突破しています。いつも子ども扱いしてくる翠くんが苦手だったスイが、受験勉強をきっかけに彼の意外な優しさを知り、決して打ち明けられない片思いを抱えていきます。
映画は2026年12月4日公開で、配給は松竹です。翠くん役の橋本さんにとっては映画初主演作で、ヒロインのスイを中島瑠菜さん、姉の桃を久間田琳加さん、スイに思いを寄せる幼なじみの菖を松本怜生さんが演じます。監督はWOWOWドラマ『アオハライド』『ストロボ・エッジ』の木村真人さん、脚本は映画『ハニーレモンソーダ』『交換ウソ日記』の吉川菜美さんです。
公開された本予告は、スイの「最初から、間違いしかない恋だった」というセリフで始まり、すれ違う4人の恋模様を映し出します。主題歌について橋本さんは、最初は「本当のことを言うと」と歌いながら、最後のサビに向かって「本当の気持ち」を明かしていく構成になっていると説明し、登場人物の心の移り変わりと重なる歌詞に注目してほしいと語っています。
目黒あむ作品の映画化は『honey』以来8年ぶり
目黒あむさんの作品が映画になるのは、これが初めてではありません。2012年から2015年まで同じ『別冊マーガレット』で連載された『honey』(全8巻)が、2018年3月31日に実写映画として公開されています。見た目は不良なのに中身は純粋な鬼瀬くんを演じたのは平野紫耀さんで、これが映画初主演でした。
ただし『honey』の主題歌は、Sonar Pocketの書き下ろし曲「108〜永遠〜」でした。平野さんが所属するKing & PrinceのCDデビューは映画公開後の2018年5月23日で、公開時点ではまだグループとして歌える状況ではなかったからです。同じ作者の作品が8年をへて、今度は主演のグループが主題歌まで担う形で映画になるのは、この間の変化をよく表しています。
主演と主題歌を同じグループが担う少女マンガ映画の歩み
ここからは、アイドルグループのメンバーが主演し、主題歌も本人のグループ(またはゆかりのあるグループ)が歌った少女マンガ原作の実写映画を、公開順に見ていきます。掲載誌もあわせて並べると、特定の雑誌に偏らず広がってきたことが分かります。
2016年『黒崎くんの言いなりになんてならない』
『黒崎くんの言いなりになんてならない』(マキノ/講談社)は、『別冊フレンド』で連載された全19巻の作品です。寮で暮らし始めた女子高生の由宇が、“黒悪魔”と恐れられる黒崎晴人に目をつけられる物語で、2016年2月27日に映画が公開されました。
黒崎くんを演じたのは中島健人さんで、ヒロインは小松菜奈さんです。主題歌はSexy Zoneの「Make my day」で、ドラマ版とあわせて起用されました。Sexy Zoneは2024年4月にtimeleszへと改名したグループで、『お姉ちゃんの翠くん』とは10年をへだてて同じグループの歌が少女マンガ映画を彩ることになります。
2018年『ういらぶ。』
『ういらぶ。-初々しい恋のおはなし-』(星森ゆきも/小学館)は、『Sho-Comi』で連載された全11巻の作品です。幼なじみの優羽に好きと言えないまま意地悪をしてしまう凛を、2018年11月9日公開の映画で平野紫耀さんが演じました。
主題歌はKing & Princeの「High On Love!」です。『honey』のときはデビュー前だった平野さんが、同じ2018年のうちにグループの曲を背負って2本目の少女マンガ映画に臨んだ形で、主演と主題歌が結びつく流れを象徴する1本といえます。
2021年『ハニーレモンソーダ』
『ハニーレモンソーダ』(村田真優/集英社)は、『りぼん』で連載された人気作です。中学時代に“石”と呼ばれていた羽花が、レモン色の髪の三浦界と出会って変わっていく物語で、2021年7月9日に映画が公開されました。主演はSnow Manのラウールさんで、単独での映画初主演作でした。
主題歌はSnow Manの「HELLO HELLO」で、グループにとって初めての映画主題歌として書き下ろされています。この作品の脚本を手がけた吉川菜美さんが、『お姉ちゃんの翠くん』の脚本も担当している点も見逃せません。
2022年『モエカレはオレンジ色』
『モエカレはオレンジ色』(玉島ノン/講談社)は、『デザート』で連載された作品です。女子高生の萌衣と、超がつくほどシャイな消防士・蛯原の恋を描いています。2022年7月8日公開の映画では、Snow Manの岩本照さんが単独初主演を務め、ヒロインは生見愛瑠さんでした。
主題歌はSnow Manの書き下ろし曲「オレンジkiss」です。ラウールさんに続いてSnow Manのメンバーが主演し、ふたたびグループの曲が主題歌になりました。
2023年『なのに、千輝くんが甘すぎる。』
『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(亜南くじら/講談社)も、『デザート』発の作品です。片思い中の男女が“片思いごっこ”を始める設定で人気を集め、2023年3月3日に映画が公開されました。千輝くんを演じたのはなにわ男子の髙橋恭平さんで、これが映画初主演でした。
主題歌はなにわ男子の新曲「Special Kiss」で、グループにとって初めての映画主題歌でした。ヒロインの真綾は畑芽育さんが演じ、監督は『ひるなかの流星』『午前0時、キスしに来てよ』も手がけた新城毅彦さんです。
2023年『おとななじみ』
『おとななじみ』(中原アヤ/集英社)は、『ココハナ』で連載された全8巻の作品です。幼なじみのまま大人になった“超残念男子”のハルと、“オカン系女子”の楓の恋模様を描いています。2023年5月12日公開の映画で、当時ジャニーズJr.のHiHi Jetsに所属していた井上瑞稀さんが映画初主演を果たしました。
この作品で少し違うのは、主題歌が先輩グループのKis-My-Ft2による「Sweet Melody」だった点です。Kis-My-Ft2の二階堂高嗣さんもハルの隣人役で出演しており、事務所の先輩と後輩が作品を支える形になりました。楓を演じた久間田琳加さんは、『お姉ちゃんの翠くん』ではスイの姉・桃を演じています。
2024年『恋を知らない僕たちは』
『恋を知らない僕たちは』(水野美波/集英社)は、『別冊マーガレット』で連載された全11巻の青春群像劇です。幼なじみ6人の片思いが交差する物語で、2024年8月23日に松竹の配給で映画が公開されました。主演はなにわ男子の大西流星さんで、こちらも映画初主演作です。
主題歌はなにわ男子の書き下ろし曲「コイスルヒカリ」でした。映画の公開にあわせて『別冊マーガレット』9月号には番外編が掲載され、表紙を大西さんが飾っています。原作の雑誌と映画、主題歌がひとつの話題として連動した例です。大西さんはその後、マンガ原作の配信ドラマでも主演が決まっています。
STARTO社以外でも広がる、2019年『午前0時、キスしに来てよ』
この形は、旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)所属のグループに限ったものではありません。『午前0時、キスしに来てよ』(みきもと凜/講談社)は、『別冊フレンド』で連載された全12巻の作品で、真面目な女子高生と国民的スーパースターの秘密の恋を描いています。
2019年12月6日公開の映画では、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんがスーパースターの綾瀬楓を、橋本環奈さんがヒロインの日奈々を演じました。主題歌はGENERATIONSの新曲「One in a Million -奇跡の夜に-」です。2024年以降の『別冊マーガレット』発の映画化でも、ボーイズグループのメンバーが主演に起用される例が続いており、その流れは次の記事で詳しく紹介しています。
主演アイドルと主題歌で見る少女マンガ実写映画の一覧
ここまで紹介した作品を、公開順に表にまとめました。所属グループは映画公開時のものです。
| No. | 公開年 | 映画タイトル | 原作者/掲載誌 | 主演(グループ) | 主題歌 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2016年 | 黒崎くんの言いなりになんてならない | マキノ/別冊フレンド | 中島健人(Sexy Zone) | Sexy Zone「Make my day」 |
| 2 | 2018年 | honey | 目黒あむ/別冊マーガレット | 平野紫耀(King & Prince※デビュー前) | Sonar Pocket「108〜永遠〜」 |
| 3 | 2018年 | ういらぶ。 | 星森ゆきも/Sho-Comi | 平野紫耀(King & Prince) | King & Prince「High On Love!」 |
| 4 | 2019年 | 午前0時、キスしに来てよ | みきもと凜/別冊フレンド | 片寄涼太(GENERATIONS) | GENERATIONS「One in a Million -奇跡の夜に-」 |
| 5 | 2021年 | ハニーレモンソーダ | 村田真優/りぼん | ラウール(Snow Man) | Snow Man「HELLO HELLO」 |
| 6 | 2022年 | モエカレはオレンジ色 | 玉島ノン/デザート | 岩本照(Snow Man) | Snow Man「オレンジkiss」 |
| 7 | 2023年 | なのに、千輝くんが甘すぎる。 | 亜南くじら/デザート | 髙橋恭平(なにわ男子) | なにわ男子「Special Kiss」 |
| 8 | 2023年 | おとななじみ | 中原アヤ/ココハナ | 井上瑞稀(HiHi Jets) | Kis-My-Ft2「Sweet Melody」 |
| 9 | 2024年 | 恋を知らない僕たちは | 水野美波/別冊マーガレット | 大西流星(なにわ男子) | なにわ男子「コイスルヒカリ」 |
| 10 | 2026年 | お姉ちゃんの翠くん | 目黒あむ/別冊マーガレット | 橋本将生(timelesz) | timelesz「本当のことを言うと」 |
一覧から見えてくる3つの特徴
まず目につくのは、掲載誌の幅広さです。集英社の『別冊マーガレット』『りぼん』『ココハナ』、講談社の『別冊フレンド』『デザート』、小学館の『Sho-Comi』と、出版社も雑誌もばらばらです。特定の編集部の企画というより、少女マンガの実写映画全体に共通する作り方として定着したことがうかがえます。
次に、主演にとって映画初主演や単独初主演となる作品が多い点です。平野さん、ラウールさん、岩本さん、髙橋さん、井上さん、大西さん、そして今回の橋本さんと、多くがここで初めて映画の真ん中に立っています。年上の恋人や意地悪な王子様といった、少女マンガならではの“理想の相手”を演じることが、アイドルが俳優として飛躍する入り口になってきたといえそうです。
最後に、主題歌が書き下ろしの新曲であることがほとんどだという点です。原作の世界観に寄せて作られた曲は、映画を観た人がその後も繰り返し聴くことで、作品の記憶を長く保つ役割を果たします。アニメの分野でも、主題歌の歌い手の選び方が作品の印象を左右する流れが見られます。
12月4日の公開までに、スイと翠くんの片思いを原作で
映画の公開までは、およそ1か月半あります。原作は11巻まで刊行されているので、週末ごとに数冊ずつ読み進めれば、公開前に最新刊まで追いつける分量です。本予告に出てくる「最初から、間違いしかない恋だった」という言葉の重みも、原作でスイの葛藤を知っておくとより深く響くはずです。
主題歌「本当のことを言うと」の歌詞が、どの場面のどんな気持ちと重なっているのかを探しながら観るのも楽しみ方のひとつです。あわせて、同じ目黒あむさんの『honey』や、一覧で紹介した作品を読み返してみると、少女マンガ映画の移り変わりを自分の目で確かめられます。
冬休みの「観たら読みたい」を、マンガの棚で受け止める
12月4日の公開は、冬休みや年末年始の休暇を目前にした時期です。映画を観て原作が気になった人、主題歌をきっかけに作品を知った人が、まとまった時間に一気読みしたくなるタイミングでもあります。ネットカフェや温浴施設、ホテルのラウンジなど“長くいられる場所”にとっては、恋愛マンガの棚を見直す好機といえます。
『お姉ちゃんの翠くん』のような公開直前の話題作と、『ハニーレモンソーダ』や『恋を知らない僕たちは』のような映画化済みの作品を並べておけば、出演者のファンも原作ファンも手に取りやすい棚になります。とはいえ、映画やドラマのたびに巻数をそろえ直し、話題が落ち着いたあとに入れ替えるのは手間のかかる作業です。
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