「キングダム」佐賀・古湯温泉街ジャックが9月30日まで延長! 延べ32万人を動かした“温泉×マンガ”コラボの広がり
2026年7月17日から、佐賀県佐賀市富士町の古湯温泉街が「キングダム」一色になる期間が9月30日まで延びました。原泰久さんの人気コミック「キングダム」と佐賀県のコラボ企画「キングダム×(駆ける)佐賀県~佐賀の火を絶やすでないぞォ。~」の一環で、今年1月に始まった古湯温泉街の企画は、半年間で延べ約32万人を集めたといいます。
同じ佐賀県のプロジェクトでは、「佐賀キングダム空港」の愛称で知られる佐賀空港のジャック企画がすでに話題になっており、今回の延長は温泉街バージョンの好評ぶりを裏づける形になりました。一つのマンガ作品が空港と温泉街という2つの土地の顔を同時に占拠する例は、実はそう多くありません。まずは古湯温泉街での企画の中身を確認したうえで、全国で広がる“温泉地×マンガ”コラボの流れをたどり、なぜ温泉地とマンガの相性がいいのかを考えます。
「古湯キングダム温泉郷」延長の中身
古湯温泉街のメインストリートには、幅約9m、高さ約8mという巨大な王騎のパネルが立ち、「でかすぎて解からねェ!!!」というキャッチコピーとともに来訪者を迎えます。河了貂と並んで記念撮影ができる「ぬる湯」の足湯スポットのほか、「論功行賞」や「三将軍」をテーマにしたパネル、全17種類がそろう街灯フラッグなど、フォトスポットは街なかに8か所設けられました。
スタンプラリーも用意されており、温泉街4か所のスタンプ台を巡って重ね捺しをしていくと、飛信隊の仲間が少しずつ増えていき、最後には1枚の絵が完成する仕組みになっています。1月の開始から6月までの半年間で延べ約32万人が参加したという実績が、今回の9月30日までの延長決定を後押ししました。
好評を受けて、佐賀県内で展開中の「キングダム×古湯温泉キャンペーン」にはC賞として「オリジナルコラボステッカー」が追加されたほか、7月17日には「佐賀キングダム空港」のデザインも刷新されています。原作「キングダム」は2026年で連載20周年を迎えており、佐賀県の情報発信プロジェクト「サガプライズ!」の目玉として、1作品が空港と温泉街という2つの地域資源を同時に動かしている点は、この企画の異例のスケールを物語っています。空港ジャックの詳細は、以下の2記事もあわせてご覧ください。
- 「佐賀キングダム空港」が誕生!激闘シーンを「佐賀海苔」で隠す遊び心まで。作者の故郷・佐賀県×キングダムが仕掛けるコラボの全容
- 「佐賀キングダム空港」延長決定! 2週間で2.4万人が殺到した”建国劇”、ファンの声で4月以降も続行へ
温泉地を“丸ごとジャック”するマンガコラボは、ここ数年でどう広がったか
温泉地とマンガ・アニメのコラボは、この3年ほどで街全体を巻き込む規模に育ってきました。単発のグッズ販売やコラボ風呂にとどまらず、温泉街や周辺エリアの複数施設を横断してフォトスポットやスタンプラリーを展開し、宿泊や日帰り入浴と組み合わせて回遊を作る手法が定着しつつあります。時系列で振り返ると、その広がり方がよく見えてきます。
2023年 「TIGER & BUNNY 2」×長野県小諸・軽井沢「SUMMER RESORT HEROES」
2023年8月25日から10月31日にかけて、アニメ「TIGER & BUNNY 2」と長野県小諸市・軽井沢町がタッグを組んだ「SUMMER RESORT HEROES」が開催されました。小諸地区では布引温泉こもろでコラボ宿泊プランや日帰り入浴が用意され、軽井沢地区では発地市庭やアイスパーク、タリアセンといった観光施設にフォトスポットとスタンプラリーが設置されています。避暑地として名高いエリア全体をヒーローたちが巡るという構成で、温泉宿泊と周遊型観光を組み合わせた先駆け的な事例といえます。
2024年 「鬼滅の刃」湯めぐりの旅 第2弾×群馬・草津温泉/栃木・鬼怒川温泉
2024年3月19日から5月31日にかけては、群馬県の草津温泉と栃木県の鬼怒川温泉で「鬼滅の刃 湯めぐりの旅」の第2弾が行われました。温泉街8か所に設けられた押印所を巡って「入湯手形」を完成させる仕組みで、音声ARと照明を組み合わせた演出や街なかの装飾、限定グッズ、コラボメニューまで用意されるなど、温泉地の“街歩き”そのものをコンテンツ化した企画でした。旅行会社が観光地とマンガの世界観を結びつけるモデルケースとして知られています。
2025年 「ゴールデンカムイ」×北海道・登別温泉
2025年には「ゴールデンカムイ」が北海道周遊のデジタルスタンプラリー「ゴー北!スタンプラリー」で登別温泉を含む道内10エリアと連動したほか、8月23日から25日には地元の一大イベント「登別地獄まつり」ともコラボし、コラボビジュアルをあしらった特製の巨大ランタンが練り歩きました。作中の舞台である北海道そのものが物語の重要な要素になっている作品だけに、温泉地単体でなくウポポイなど周辺施設を含めた広域連携になっている点が特徴です。
2026年 「銀魂」×大分・HANA・BIYORI(別府)
2026年3月20日から5月6日にかけては、大分県別府市の植物園「HANA・BIYORI」で「銀魂」とのコラボが行われ、館内フォトスポットや限定グッズが用意されました。露天風呂を備えた植物園という珍しい施設形態のため周遊は館内で完結しますが、“温泉+マンガ”という組み合わせ自体が集客企画として定着していることを示す事例です。
2026年 「夏目友人帳」×熊本・人吉温泉(人吉・球磨)
同じく2026年夏には、熊本県の人吉・球磨エリアで「夏目友人帳」とのコラボが始まりました。描き下ろしイラストを使ったラッピングバスの運行やバス停の特別仕様化、エリア内のモデル地を巡るデジタルスタンプラリーが用意され、人吉温泉を含む地域全体を舞台にした企画です。豪雨災害からの復興が続く同エリアにとって、マンガファンの周遊を呼び込む観光施策としての意味合いも強い企画といえます。
一覧で見る“温泉×マンガ”コラボの広がり
ここまでの事例を、開催時期の順に一覧としてまとめました。
| No. | 作品 | 温泉地・エリア | 開催時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | TIGER & BUNNY 2 | 長野県小諸・軽井沢 | 2023年8月〜10月 | 宿泊プラン+周辺3施設のスタンプラリー |
| 2 | 鬼滅の刃 | 群馬・草津温泉/栃木・鬼怒川温泉 | 2024年3月〜5月 | “入湯手形”を集める8か所押印スタンプラリー |
| 3 | ゴールデンカムイ | 北海道・登別温泉 | 2025年8月ほか通年 | 道内10エリア連動+地獄まつりの巨大ランタン |
| 4 | 銀魂 | 大分・HANA・BIYORI(別府) | 2026年3月〜5月 | 露天風呂付き植物園での館内フォトスポット |
| 5 | 夏目友人帳 | 熊本・人吉温泉(人吉・球磨) | 2026年夏 | ラッピングバス+デジタルスタンプラリー |
| 6 | キングダム | 佐賀・古湯温泉 | 2026年1月〜9月30日(延長) | 巨大パネル8か所+半年で延べ32万人 |
なぜ温泉地はマンガとの相性がいいのか
温泉地とマンガコラボがこれほど広がっている背景には、温泉地が抱える課題とマンガコラボの効果がかみ合っている事情があります。温泉地の多くは、日帰り客より宿泊客を増やしたい一方で、若い世代や家族連れをどう呼び込むかという課題を抱えています。マンガコラボは、フォトスポットやスタンプラリーという形で“街を歩く理由”を作り、宿泊プランや周辺施設と組み合わせることで、通過型の観光を滞在型に変える効果を持っています。古湯温泉郷が半年で延べ32万人を集めたという数字は、単なる話題づくりにとどまらず、実際に人の動きを作る企画であることを裏づけています。
個人の皆様へ。夏の古湯温泉で「キングダム」の世界を歩いてみませんか
古湯温泉郷の企画は9月30日まで。巨大な王騎パネルの前で記念撮影をしたり、スタンプラリーで飛信隊の仲間を集めたりと、原作を知っている人ほど楽しめる仕掛けが詰まっています。この機会に古湯温泉へ足を運んでみてはいかがでしょうか。あわせて「キングダム」本編を読み返しておくと、パネルやフラッグの元ネタがより深く楽しめます。
施設運営者の皆様へ。”一つのIPで街を動かす”仕掛けを自施設にも
温浴施設にとって、古湯温泉郷の事例が示すのは、一つの人気IPを軸に館内外の複数のスポットを一斉に染め上げるという発想です。巨大パネルやフラッグでできることは大型の温泉地に限りません。館内にマンガコーナーを設け、話題の作品を常時読める環境を用意しておくだけでも、コラボ企画やメディア露出があったタイミングで来館のきっかけを作ることができます。
スマートコミックでは、温浴施設やホテル向けにマンガコーナーの設置・運用を支援しています。詳しい料金表や導入事例は、以下からご確認ください。
