じゃらん・楽天・Booking.comの口コミスコアを改善する——ホテル・旅館のOTA別具体策

口コミスコアの改善は全OTAに共通する原則(清潔さの向上、スタッフ対応の標準化、期待を超える体験の設計)がベースですが、OTAごとにスコアの構成や表示ロジックが異なるため、OTA別の対策も必要です。
本記事では、国内3大OTA(じゃらん・楽天トラベル・Booking.com)のスコア構造と、それぞれに効く改善策を整理します。
じゃらんの口コミ対策
じゃらんの総合スコアは、立地、部屋、食事、風呂、サービス、清潔感の6項目の平均で構成されます。各項目は5点満点。
特徴として、「食事」と「風呂」の評価項目があるため、旅館・リゾートホテルにとっては食事と温泉の質がスコアに直結します。素泊まり施設でも「食事」に「-」がつくだけで、他の項目でカバーする必要があります。
改善の優先順位は、「清潔感」(最もスコアに影響しやすく、改善も即効性がある)→「サービス」(スタッフ対応の標準化で改善可能)→「部屋」(設備の更新やアメニティの充実で対応)の順です。
じゃらんで特に効く施策
じゃらんはリクルートポイント(Pontaポイント)との連携があり、レジャー・ファミリー層の利用比率が高いOTAです。子連れゲストが多い施設では、「子ども向けの配慮」(ベビーベッド、子ども用食器、キッズスペース等)が口コミで言及されやすく、「サービス」のスコアに直結します。
じゃらんでは口コミ投稿時に「このホテルを友人にすすめますか?」という推奨度も記録されます。この推奨度は検索結果の表示順位にも影響するため、「また来たい」「人に勧めたい」と思わせる体験設計が重要です。
楽天トラベルの口コミ対策
楽天トラベルの総合スコアは、サービス、立地、部屋、設備・アメニティ、風呂、食事の6項目で構成されます。5点満点。
楽天の特徴として、「設備・アメニティ」が独立した評価項目になっている点に注目です。高品質なドライヤー、枕の選択制、充実したアメニティセットなど、客室設備への投資が直接的にスコアに反映されます。
また、楽天トラベルでは口コミの「投稿数」も検索順位に影響します。投稿件数を増やす施策(チェックアウト時の声かけ、フォローメール)は楽天での効果が特に大きいです。
楽天トラベルで特に効く施策
楽天経済圏のユーザーは「楽天ポイント」を意識して予約する傾向があり、価格感度が比較的高い層です。そのため「コストパフォーマンス」に関する口コミが多くなりやすい。料金に見合ったサービスが提供できているかを定期的に検証してください。
楽天トラベルの「お客さまの声」ページでは、施設からの返信が目立つ位置に表示されます。返信率を高めることで「このホテルは丁寧に対応してくれる」という印象を見込み客に与えられます。理想的な返信率の目安は、低評価口コミは100%、高評価口コミは50%以上です。
楽天トラベルでは「RaCoupon(ラ・クーポン)」や楽天スーパーSALEへの参加が検索順位に影響することがあります。口コミ対策と並行して、プロモーション施策との組み合わせも検討してください。
Booking.comの口コミ対策
Booking.comの総合スコアは10点満点で、スタッフ、施設・設備、清潔さ、快適さ、コスパ、ロケーション、Wi-Fiの7項目で構成されます。
Booking.comの特徴は「Wi-Fi」が独立した評価項目になっている点です。Wi-Fi速度が遅い、接続が不安定、パスワードがわかりにくいといった問題は、Booking.comのスコアに直接マイナスとして反映されます。Wi-Fi環境の整備はBooking.com対策として優先度が高い施策です。
また、Booking.comはインバウンド(外国人ゲスト)の利用比率が高いOTAです。多言語対応(英語での案内表示、チェックイン時の英語対応等)の有無が口コミに反映されやすいため、インバウンド比率が高い施設は特に意識すべきポイントです。
Booking.comで特に効く施策
Booking.comの口コミは「宿泊後のアンケートメール」から投稿されることがほとんどです。Booking.com側がチェックアウト後に自動的にメールを送るため、施設側が投稿を促す必要性はOTAの中では最も低い。逆に言えば、「滞在体験の質」がそのままスコアに直結します。
Booking.comの「Genius プログラム」に参加している施設は、Geniusレベル2以上のロイヤルユーザーからの予約が増えます。このユーザー層は旅慣れており、口コミの内容も具体的で的確な傾向があります。良い体験を提供すれば質の高い口コミが得られる一方、細かい点への不満も書かれやすいため、ディテールへの注意が求められます。
Booking.comでは「快適さ」という独自の評価項目があります。これは客室の広さ、ベッドの寝心地、防音性、温度管理などが含まれる項目で、「清潔さ」とは別にスコア化されます。枕の選択制やマットレスの品質、防音対策が「快適さ」のスコアに直接効きます。
OTA別・スコア改善アクションリスト
自施設のOTA別スコアを確認した後、最もスコアが低い項目に対応するアクションを以下から選んで着手してください。
「清潔さ」が低い場合(全OTA共通・最優先)
清掃完了チェックリストの導入とダブルチェック体制の構築。水回り(バスルーム・トイレ・洗面台)の重点点検項目の追加。ベッドメイク時の髪の毛チェックの徹底。清掃スタッフへのフィードバック体制(口コミの「清潔さ」スコアを毎月共有)。
「スタッフ・サービス」が低い場合
チェックイン対応の標準化(名前で呼ぶ、所要3分以内、必要情報カードの手渡し)。クレーム対応のエスカレーションルールの整備。「お帰りなさいませ」(リピーター認識)の仕組み化。チェックアウト時の一言(「いかがでしたか?」)の徹底。
「設備・アメニティ」が低い場合(楽天で特に重要)
高性能ドライヤーの導入または貸出制の開始。枕の選択制(硬さ・高さ2〜3種類)の導入。基礎化粧品のグレードアップ。客室のUSBポート・コンセント数の確認と増設。
「Wi-Fi」が低い場合(Booking.comで特に重要)
回線速度の測定と必要に応じた増強。接続パスワードの案内をわかりやすくする(客室内のカードにSSID・パスワードを大きく印刷)。ルーターの設置場所と台数の見直し(全客室で安定して接続できるか)。
「食事」が低い場合(じゃらんで特に重要)
朝食のメニュー構成の見直し(地元食材の導入、品数の拡充)。食事会場の清潔さと雰囲気の改善。食物アレルギーへの対応の明確化。提供温度の管理(温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく)。
「コスパ」が低い場合
料金設定の見直し(需要に応じたダイナミックプライシングの導入)。プランに含まれるサービスの明確化(「このプランに何が含まれているか」をOTAの紹介文に具体的に記載)。無料サービスの追加(ウェルカムドリンク、フリードリンクコーナー等、低コストで提供可能なもの)。
全OTA共通:1ヶ月以内に効果が見える即効策3つ
すべてのOTAに共通して、追加コストがほぼかからず、すぐに着手できる施策は以下の3つです。
即効策① 清掃品質のチェックリスト導入。
「清潔さ」は全OTAで最もスコアに影響する項目。チェックリストの導入は今日からできて、1ヶ月後の口コミに反映されます。
即効策② チェックイン対応の標準化。
名前で呼ぶ、館内案内を簡潔にする(カードで手渡す)、待ち時間を減らす。スタッフ個人のスキル差をなくし、誰が対応しても同じ水準の接客を実現します。
即効策③ 口コミ投稿の促進。
満足度が高いゲストに投稿を促す導線を整える。チェックアウト時の一言とフォローメールの仕組みは「良い口コミを増やす導線設計」で解説しています。
この3つは「やるかやらないか」だけの問題で、実行すれば確実に効果が出ます。まずはここから着手してください。
まとめ
口コミスコアの改善は「全OTA共通の基本」+「OTA別の固有対策」の二層で進めます。自施設がどのOTAで最もスコアが低いかを確認し、そのOTAの評価項目に効く施策から優先的に着手する。これが最短で成果を出すアプローチです。
口コミスコアが収益に与えるインパクトの全体像は「口コミスコアが予約数に与える影響」で解説しています。
