「ちいかわ(現象)」と「なんとかなれーッ」が流行語大賞にノミネート! 鬼滅の刃や推しの子など、近年のマンガ・アニメ関連ワードを年ごとに数えてみた
2026年11月5日、「2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート30語が発表されました。そのなかに、ナガノさんのマンガ『ちいかわ』に関わる言葉が2つ入っています。ひとつは「ちいかわ(現象)」、もうひとつはハチワレのセリフ「なんとかなれーッ」です。1つの作品から2語が同時に候補に入ったことになります。
トップテンと年間大賞は12月1日に発表されます。それまでのあいだに気になるのが、「そもそも流行語大賞にマンガはどれくらい入ってきたのか」という点です。『鬼滅の刃』がトップテン入りした年は覚えていても、ほかの年はどうだったでしょうか。
この記事では、自由国民社の公式サイトに残る歴代のノミネート語と授賞語から、2010年以降のマンガ・アニメ関連の言葉を年ごとに拾い出しました。マンガ原作なのか、アニメオリジナルなのか、小説が原作なのかも分けて整理しています。
『ちいかわ』から2語、2026年のノミネート30語に入った言葉
今回ノミネートされたのは、作品名そのものではなく「ちいかわ(現象)」という表記です。アニメ!アニメ!の報道によると、2026年7月に公開された『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』にちなんだ言葉とされています。同作は観客動員1277万人、興行収入186.6億円を突破し、歴代興行収入ランキングで12位に入りました(興行通信社調べ)。
もう1語の「なんとかなれーッ」は、ハチワレが口にするセリフです。どうにもならない状況を前に、それでも前を向くひと言が、SNSや日常会話で広く使われるようになりました。マンガのキャラクターのセリフがそのまま候補になったのは、今回整理した2010年以降の一覧のなかでは初めてです。
『ちいかわ』は2020年からX(当時のTwitter)で発表が始まり、講談社から単行本『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』が刊行されています。2022年にはテレビアニメも始まりました。なお、2010年から2025年までの公式ノミネート語に『ちいかわ』関連の言葉は見当たらず、新語・流行語大賞への候補入りは今回が初めてです。
ちいかわ人気の広がりや、映画の興行記録については、これまでの速報記事でも取り上げてきました。
- 『映画ちいかわ』IMAX版が7月24日同時公開! Xの1本の投稿からIMAXスクリーンまで、ちいかわ現象6年をたどる
- 『映画ちいかわ』が公開31日で興行収入100億円を突破! 歴代の“100億円超えアニメ映画”と並べて見えたすごさ
ほかの28語を見ると、マンガ・アニメの作品名やセリフに直結する言葉は、ちいかわ関連の2語のほかには見当たりません。ただ、生成AIによる声の無断利用が問題になった「声の権利」や、推し活のようすをSNSに投稿する「ホビ垢」など、アニメや声優、ファン文化に近い言葉はいくつか並んでいます。
そもそも新語・流行語大賞はどう選ばれている?
新語・流行語大賞は、1984年に自由国民社が始めた賞です。1年のあいだに生まれた言葉のなかから、世相を軽妙に表し、広く話題になったものを選びます。毎年『現代用語の基礎知識』に収録される用語をベースに、自由国民社と大賞事務局がノミネート語を選出し、選考委員会がトップテンと年間大賞を決める流れです。
選考委員には、漫画家のやくみつるさんと辛酸なめ子さんが名を連ねています。マンガの描き手が言葉を選ぶ側にいる賞でもあるわけです。
年によって、ノミネートの数は変わってきました。2010年と2011年は60語、2012年から2015年は50語、2016年以降は30語です。候補の枠が半分になったあとも、マンガ・アニメ関連の言葉が毎年のように残っているかどうかは、後半の考察で確かめます。
2010年以降のマンガ・アニメ関連ワードは20語
ここからは、2010年から2026年までのノミネート語と授賞語のなかで、マンガやアニメに由来する言葉を年代順に見ていきます。ゲームが出発点の言葉(2014年トップテンの「妖怪ウォッチ」、2016年トップテンの「ポケモンGO」、2021年の「ウマ娘」など)は、マンガやアニメにも展開されていますが、今回は数に入れていません。
2010年代前半は「マンガから生まれた言葉」が中心
2010年の年間大賞は「ゲゲゲの~」でした。もとになったのは、水木しげるさんの妻・武良布枝さんの自伝『ゲゲゲの女房』と、それを原作にしたNHKの連続テレビ小説です。マンガ家の暮らしを描いた作品ではありますが、マンガそのものではない点は区別しておきます。
同じ2010年には、久保ミツロウさんのマンガ『モテキ』(講談社)がノミネートされています。「モテ期」という言葉自体は以前からありましたが、この年のドラマ化で作品名とともに一気に広まりました。
2011年の候補にある「タイガーマスク」は、梶原一騎さん原作・辻なおきさん作画のマンガの主人公です。2010年の年末から、主人公の本名「伊達直人」を名乗る寄付が全国の児童養護施設などで相次ぎ、「タイガーマスク運動」と呼ばれました。半世紀近く前のマンガが、社会の出来事の名前になった例です。
2014年には、少女マンガ発の言葉がトップテンに入りました。「壁ドン」です。公式の解説では、最初に言い出したのは声優の新谷良子さんとされ、そのあと渡辺あゆさんの少女マンガ『L・DK』(講談社)が火をつけたと説明されています。授賞したのは、同年に公開された実写映画『L・DK』で主演した山﨑賢人さんでした。
ちなみに、2013年の年間大賞「倍返し」は、ドラマ『半沢直樹』のセリフで、原作は池井戸潤さんの小説です。2004年トップテンの「セカチュー」、2025年トップテンの「国宝(観た)」も小説が原作で、マンガとは分けて考える必要があります。
2014年から2017年、アニメ発の言葉が存在感を増す
2014年のトップテンには、ディズニーのアニメーション映画『アナと雪の女王』から「ありのままで」が選ばれました。翌2015年にはアニメを中心としたメディアミックス『ラブライブ!』のファンを指す「ラブライバー」が候補に入っています。
流れがはっきりしたのは2016年です。新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』、赤塚不二夫さんのマンガ『おそ松くん』を原作にしたテレビアニメ『おそ松さん』の2つがノミネートされました。さらに、映画やアニメの舞台を訪ねる「聖地巡礼」がトップテンに入り、公式の解説でも『君の名は。』の舞台・飛騨古川が例に挙がっています。
2017年には、テレビアニメ『けものフレンズ』も候補に名を連ねました。この時期の言葉はアニメオリジナルやメディアミックス発が多く、マンガ原作のアニメからの候補は『おそ松さん』くらいです。
『うつヌケ』『翔んで埼玉』、作品名そのものが候補になる
2017年のノミネートには、田中圭一さんのマンガ『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)が入りました。うつ病から抜け出した人たちの体験を描いたコミックエッセイで、作品名がそのまま候補になったケースです。
2018年の「君たちはどう生きるか」は、吉野源三郎さんが1937年に発表した小説が原作です。前年の2017年に刊行された羽賀翔一さんの『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が200万部を超えるベストセラーになり、再び話題を集めました。言葉の出どころは小説ですが、ブームのきっかけはマンガ版だったといえます。
2019年には、魔夜峰央さんのマンガ『翔んで埼玉』がノミネートされました。1980年代に描かれた作品が2015年に宝島社から復刊されて話題になり、2019年の実写映画化で大ヒットしています。
『鬼滅の刃』のトップテン入りから、ほぼ毎年続く
マンガ原作の作品名がトップテンまで届いたのが、2020年の「鬼滅の刃」です。吾峠呼世晴さんが2016年から週刊少年ジャンプで連載した作品で、2019年のテレビアニメ放送をきっかけに社会現象になりました。授賞式には週刊少年ジャンプの編集長が登壇しています。作中の「全集中の呼吸」も日常で使われましたが、公式のノミネート語に入っていたのは「鬼滅の刃」の1語だけです。
2022年には、遠藤達哉さんが少年ジャンプ+で連載する『SPY×FAMILY』が、テレビアニメの放送開始と同じ年にノミネートされました。
2023年は「推しの子/アイドル」です。赤坂アカさんと横槍メンゴさんによる週刊ヤングジャンプのマンガ『【推しの子】』と、そのテレビアニメのオープニング曲であるYOASOBIの「アイドル」が、ひとまとめで候補になりました。
2024年のトップテン「Bling-Bang-Bang-Born」は、Creepy Nutsによるテレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』の主題歌です。原作は甲本一さんが週刊少年ジャンプで連載したマンガで、アニメのキャラクターが踊る「BBBBダンス」がSNSで世界的に広がりました。
2025年の候補「7月5日」は、少し変わった例です。漫画家・たつき諒さんの作品『私が見た未来 完全版』をきっかけに「7月5日に大災害が起きる」といううわさが広まり、海外の旅行需要にまで影響しました。作品名ではなく、マンガ発のうわさが言葉になったケースといえます。
一覧表で見る、新語・流行語大賞のマンガ・アニメ関連ワード
2010年から2026年までに確認できた20語を表にまとめました。結果欄の「ノミネート」はトップテンに入らなかった言葉、2026年は12月1日の発表前のため「ノミネート」としています。
| No. | 年 | 言葉 | 元の作品 | 区分 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2010 | ゲゲゲの~ | 『ゲゲゲの女房』(武良布枝) | 自伝・朝ドラ(マンガ家の妻の自伝) | 年間大賞 |
| 2 | 2010 | モテキ | 『モテキ』(久保ミツロウ) | マンガ原作 | ノミネート |
| 3 | 2011 | タイガーマスク | 『タイガーマスク』(梶原一騎・辻なおき) | マンガ原作 | ノミネート |
| 4 | 2014 | ありのままで | 『アナと雪の女王』 | アニメ映画(海外) | トップテン |
| 5 | 2014 | 壁ドン | 『L・DK』(渡辺あゆ)ほか | 少女マンガ発 | トップテン |
| 6 | 2015 | ラブライバー | 『ラブライブ!』 | アニメ中心のメディアミックス | ノミネート |
| 7 | 2016 | おそ松さん | 『おそ松くん』(赤塚不二夫)原作のアニメ | マンガ原作アニメ | ノミネート |
| 8 | 2016 | 君の名は。 | 新海誠監督のアニメ映画 | アニメオリジナル | ノミネート |
| 9 | 2016 | 聖地巡礼 | 『君の名は。』など作品の舞台訪問 | アニメ文化の言葉 | トップテン |
| 10 | 2017 | うつヌケ | 『うつヌケ』(田中圭一) | マンガ(コミックエッセイ) | ノミネート |
| 11 | 2017 | けものフレンズ | テレビアニメ『けものフレンズ』 | アニメ中心のメディアミックス | ノミネート |
| 12 | 2018 | 君たちはどう生きるか | 吉野源三郎の小説、羽賀翔一のマンガ版 | 小説原作(マンガ版がヒット) | ノミネート |
| 13 | 2019 | 翔んで埼玉 | 『翔んで埼玉』(魔夜峰央) | マンガ原作 | ノミネート |
| 14 | 2020 | 鬼滅の刃 | 『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴) | マンガ原作 | トップテン |
| 15 | 2022 | SPY×FAMILY | 『SPY×FAMILY』(遠藤達哉) | マンガ原作 | ノミネート |
| 16 | 2023 | 推しの子/アイドル | 『【推しの子】』(赤坂アカ・横槍メンゴ) | マンガ原作(アニメ主題歌) | ノミネート |
| 17 | 2024 | Bling-Bang-Bang-Born | 『マッシュル-MASHLE-』(甲本一) | マンガ原作(アニメ主題歌) | トップテン |
| 18 | 2025 | 7月5日 | 『私が見た未来 完全版』(たつき諒) | マンガ発のうわさ | ノミネート |
| 19 | 2026 | ちいかわ(現象) | 『ちいかわ』(ナガノ) | マンガ原作 | ノミネート(12月1日発表) |
| 20 | 2026 | なんとかなれーッ | 『ちいかわ』ハチワレのセリフ | マンガ原作 | ノミネート(12月1日発表) |
マンガ関連の言葉は近年増えているのか
年ごとに数えると、2010年から2015年までの6年間で6語、2016年から2020年までの5年間で8語、2021年から2025年までの5年間で4語です。数だけを見ると2016年前後がいちばん多く、近年は年1語のペースに落ち着いているように見えます。
ただし、ノミネートの枠そのものが小さくなっている点を考える必要があります。2010年と2011年は60語、2012年から2015年は50語の候補がありましたが、2016年以降は30語です。枠が半分になったあとも、2016年から2026年までの11回のうち、マンガ・アニメ関連の言葉が1つも入らなかったのは2021年だけでした。30語のなかの割合でいえば、存在感はむしろ増しているといえます。
中身の変化もあります。2010年代前半は「モテキ」や「壁ドン」のように、マンガから生まれた言葉が一般名詞として広まるケースが中心でした。2020年の『鬼滅の刃』以降は、作品名そのもの、あるいはアニメの主題歌が候補になる形が続いています。その多くは、テレビアニメの放送をきっかけに一気に広がったマンガ原作の作品です。
20語のうち、マンガ原作またはマンガ発といえる言葉は13語、アニメオリジナルやアニメ中心のメディアミックス、アニメ文化の言葉が5語、小説や自伝が原作の言葉が2語です。トップテン以上に届いたのは6語で、そのうちマンガ原作は「壁ドン」「鬼滅の刃」「Bling-Bang-Bang-Born」の3語でした。
36年前には「ちびまる子ちゃん(現象)」が金賞に
2010年より前にさかのぼると、マンガ発の言葉はさらに目立ちます。1987年には石ノ森章太郎さんの『マンガ日本経済入門』が流行語部門・大衆賞を受け、1989年には堀田かつひこさんのマンガから生まれた「オバタリアン」が流行語部門・金賞を取りました。
そして1990年、流行語部門の金賞に選ばれたのが「ちびまる子ちゃん(現象)」です。同じ年には中尊寺ゆつ子さんのマンガに登場する「オヤジギャル」も新語部門の銅賞に入っています。その後も、1994年の「ゴーマニズム」(小林よしのり)、1997年トップテンの「もののけ(姫)」、1998年トップテンの「ショムニ」(安田弘之原作のドラマ)、2005年トップテンの「萌え~」と、マンガ・アニメの言葉は折に触れて顔を出してきました。
2026年の「ちいかわ(現象)」は、36年前の「ちびまる子ちゃん(現象)」と同じく、作品名に「(現象)」が添えられた形です。キャラクターの人気が映画館の行列やグッズ売り場、日常の言葉づかいにまで広がり、作品の枠を超えて社会の出来事として扱われた点も共通しています。12月1日の発表で、どこまで勝ち上がるかが注目されます。
12月1日の発表までに、原作の『ちいかわ』を読んでおく
「なんとかなれーッ」がどんな場面で出てくるセリフなのかを知ると、流行語としての重みがまた違って見えてきます。かわいい見た目とは裏腹に、ちいかわたちの暮らしは討伐や草むしり検定など、なかなか厳しいものです。映画を観た人も、単行本で日々のエピソードを読み直してみると、ハチワレのひと言の背景がよく分かります。
一覧表に並んだ『鬼滅の刃』『SPY×FAMILY』『【推しの子】』なども、流行語になった年を思い出しながら読み返すと、当時の空気ごと楽しめます。年末の休みに、流行語大賞の歴代作品をまとめて読むのもおすすめです。
流行語になった作品を、施設の棚で会話のきっかけに
流行語大賞の発表は、毎年12月のニュースやワイドショーで大きく取り上げられます。その時期に、ノミネートされた作品が手に取れる場所にあると、「これが流行語になったマンガか」とお客様が足を止めるきっかけになります。温浴施設やホテル、カフェなどの待ち時間や滞在時間を、話題の作品で埋められるのがマンガの強みです。
スマートコミックは、話題作や定番作品を施設の客層に合わせて選び、必要な期間だけレンタルで設置できるサービスです。年末年始の繁忙期に合わせて「今年話題になったマンガ」の棚をつくるなど、時期に応じた入れ替えにも対応しています。料金表や導入事例は、下のリンクからご覧ください。

