寒くても心はあたたかく! 冬支度が楽しくなる漫画3選

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今年の冬は暖冬予報! それでも冬支度は早めに

毎日少しずつ肌寒くなってきましたね。皆さんは、こたつやストーブなどの暖房器具はもう準備できたでしょうか。実は江戸時代には、こたつを出すのは「亥の子(いのこ)」の日と決まっていたそうです。この日に「こたつ開き」をすると、火事にならないと言われていたのだとか。昔の人は、暦を目安に冬支度を進めていたのですね。

では、今年の冬はどうなるのでしょう。日本気象協会によると、2026~2027年の冬は全国的に暖冬傾向。本格的な冬の到来も遅れる見込みとのこと。11月も暖かい日が続くとなると、こたつやストーブなどの暖房器具を出したり、コートやマフラーといった防寒着を準備したりするのは、つい後回しにしてしまいそうですよね。とはいえ、暖冬の年であっても一時的な寒波で急に冷え込む日はあるため、冬支度は早めに済ませておくと安心です。

ただ、押し入れから暖房器具を引っ張り出したり、衣替えをしたりする冬支度は、どうしても面倒に感じるもの。そこで今回は【冬支度が楽しくなる漫画】をテーマに、『ゆるキャン△』『ホテル・メッツァペウラへようこそ』『ふらいんぐうぃっち』の3作品を紹介します。読み終わる頃には、冬を迎える準備が少しだけ楽しみになっているかもしれません。

冬支度が楽しくなる漫画3選

■『ゆるキャン△』(あfろ/2015年~)

女子高校生たちが、キャンプを通じて景色やご飯、のんびりした時間を楽しむ日常漫画です。2018年のTVアニメ化をきっかけに人気が広がり、キャンプブームを後押しする存在になりました。累計発行部数は2024年に1,000万部を突破。2027年には、アニメ4期の放送も控えている人気作です。

富士山が見える冬の本栖湖で、ひとりキャンプしていた女子高校生・志摩リン。そこへ現れたのが、自転車で富士山を見に来たものの、うっかり寝過ごしてしまった各務原なでしこでした。日が暮れて途方に暮れるなでしこに、リンがカップラーメンを分けてあげたことをきっかけに2人は知り合い、なでしこはキャンプに夢中になっていきます。リンは気ままに過ごすソロキャンプ、なでしこは入部した「野クル(野外活動サークル)」の仲間たちとのにぎやかなキャンプ。それぞれのペースでアウトドアを楽しむ日常が描かれていきます。

自分にとって本作は、何度でも読み返したくなるほど大好きな作品です。なかでも忘れられないのが1話。冷え込んだ湖畔で、リンとなでしこがカップラーメンをすする。ただそれだけの場面なのに、湯気の立つカップ麺がたまらなくおいしそうに見えて、冬の澄んだ空気ごと作品の世界に引き込まれました。リンが乗っている原付のビーノも、この作品の影響で思わず自分も買ってしまったほどです。

冬支度という視点で見ると、本作は防寒の工夫が生き生きと描かれている漫画でもあります。物語が始まるのは、キャンプ場が空いてくる秋の終わりから冬にかけての時期。リンは寒さを承知の上で、人の少ないキャンプ場や澄んだ空気を求めてソロキャンプへ出かけ、服を重ね着したり寝袋やカイロを用意したりと、寒さへの備えも抜かりありません。一方の野クルは、限られた予算のなかで少しずつ道具をそろえながら、手持ちのものでどう暖を取るかを毎回あれこれ試行錯誤。そうして思い思いに着込んだ彼女たちの、もこもこした冬の装いがとにかく可愛いのです。

そして寒い夜に欠かせないのが、やはり温かいご飯です。料理上手ななでしこがキャンプで作る鍋や料理は、どれもおいしそう。焚き火を囲んでできたてを分け合う場面を見ていると、“寒いからこそ楽しい”という感覚が伝わってきます。彼女たちのように「寒い季節をどう過ごそうか」と考えながら準備すれば、冬支度も少し楽しみになりそうです。

■『ホテル・メッツァペウラへようこそ』(福田星良/2020年~)

フィンランドの小さなホテルを舞台に、訳ありの日本人青年と2人の老紳士の交流を描くヒューマンドラマです。2020年から、漫画誌「ハルタ」で連載中。単行本1巻は発売後すぐに重版がかかり、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」にもランクインしました。

フィンランド北部のラップランド地方にある小さなホテル・メッツァペウラ。ある吹雪の夜、そこへ体に刺青を入れた17歳の青年・ジュンが現れます。何やら訳ありの彼を迎え入れたのは、ホテルを営む老紳士のアードルフとクスタでした。2人はジュンを温かい食事とサウナでもてなし、身寄りも行く当てもない彼に、ここでホテルマンとして働かないかと持ちかけます。こうしてジュンは仕事を覚えながら、少しずつ自分の居場所を見つけていくのです。

冬支度という視点で読むと、本作の見どころはやはりフィンランドの冬の暮らしぶりでしょう。見渡す限りの一面の雪景色、サウナ、温かい料理の描写がとてもリアルで、ページをめくるたびにラップランドの極寒の空気まで伝わってくるよう。外が厳しい寒さだからこそ、温かいご飯やサウナが身も心もほぐしていきます。そんな彼らの日常を見ていると、冬支度は寒さをしのぐのはもちろん、自分や誰かがほっとできる時間をつくるための準備でもあるのだと思えてきます。

とはいえ、本作はただ温かいだけの物語ではありません。1巻を読み終えて気になったのは、ジュンの過去。そして、彼を迎え入れたアードルフとクスタにもどこか影がありそうなこと。さらに、フィンランドといえば世界の幸福度ランキングで9年連続1位という結果にもかかわらず、厳しい気候の最中には自殺が多いという一面に触れた話があります。温かい人情物として、表面的な綺麗さだけで終わらせない。その奥行きがあるからこそおもしろいのですよね。続きが気になって仕方ありません。

■『ふらいんぐうぃっち』(石塚千尋/2012年~)

青森県弘前市を舞台に、見習い魔女の少女と周りの人々の日常をのんびりと描く作品です。累計発行部数は200万部を突破。2016年にはTVアニメ化もされた作品です。

主人公は、15歳の見習い魔女・木幡真琴。魔女に「15歳になったら独り立ちし、社会に出る」というしきたりがあります。真琴は高校進学を機に、黒猫のチトと一緒に横浜から青森の親戚の家へ引っ越してきます。ただし、今のところ使える魔法といえば、ほうきで空を飛ぶことくらい。またいとこの圭や千夏、新しくできた友人たちと過ごしながら、一人前の魔女を目指していきます。畑仕事やご近所付き合いといった何気ない暮らしのなかに、魔女や不思議な存在が溶け込んでいて、ごく当たり前のように顔を出すのが本作ならではの魅力です。

作中ではまだ冬を迎えていませんが、冬支度というテーマで取り上げたいのが、第32話(6巻収録)『天地、夏冬、雪と墨』です。青森は夏まっただ中。なのに、ある日、真琴たちの住む家に突然の大雪が降ります。その原因は、とある人の寝坊でした。季節の移り変わりさえ魔女の世界とつながっている、いかにも本作らしいエピソードです。横浜育ちの真琴にとって、雪国・青森で過ごす冬はこれが初めて。本格的な冬が来たら、彼女たちはどんなふうに冬支度するのでしょうね。夏のドカ雪事件は、そんな想像をふくらませてくれるプロローグのようにも感じられます。

私とこの作品との出会いは、アニメでした。とにかくまったりとした空気感が心地よく、青森ならではの暮らしの中に魔女が自然に溶け込んでいる不思議な世界を毎週のんびり楽しみに見ていました。アニメの放送から今年でちょうど10年。2期の発表を、今もずっと待っています。

3つの漫画で学べるポイント

冬は寒くて、つい動くのが億劫になりがち。快適に過ごすためには、何かと準備に手間がかかる季節です。それでも、こたつでぬくぬくと過ごす時間や、鍋がいっそうおいしく感じられる夜は、冬ならではのもの。今回紹介した3作品を並べてみると、同じ冬でも、その迎え方はまるで違います。

『ゆるキャン△』と『ホテル・メッツァペウラへようこそ』は、どちらも厳しい寒さのなかで、体を温めるひとときが印象に残る作品です。ただ、『ゆるキャン△』のリンやなでしこたちは、できる範囲で防寒着を着込み、道具をそろえて、自らの足で寒い外へ出かけていきます。

一方の『ホテル・メッツァペウラへようこそ』は、吹雪のなかからやって来たジュンや宿泊客たちを、温かなおもてなしで迎え入れる側の物語です。外へ出て冬を楽しむための準備と、室内で誰かがほっとできる場所を整える準備。同じ冬支度でも、向いている方向が正反対ですね。

そして、『ふらいんぐうぃっち』は最新刊15巻で季節が秋へと進んだところで、作中ではまだ本格的な冬を迎えていません。夏のドカ雪は冬支度とは少し違うものの、いつもの暮らしが雪ひとつでがらりと変わる様子を見せてくれます。季節の移り変わりさえ魔女の世界とつながっているこの作品は、次の季節を心待ちにする気持ちを思い出させてくれます。

3つの作品に共通しているのは、冬支度を寒さに耐えるための作業ではなく、冬を楽しむための準備として描いていることではないでしょうか。今年は暖冬予報なので、暖房器具や防寒着の出番はもう少し先になるかもしれません。それでも、キャンプに出かける日を思い描いたり、温かい料理で誰かを出迎えたり。そんな楽しみを思い浮かべて準備すれば、少しだけ冬の到来が待ち遠しくなりそうです。

まとめ – 今年の冬支度は漫画と共に

こたつを出す日を暦で決めていた江戸時代と比べると、今の暮らしははるかに便利になりました。エアコンのスイッチひとつで部屋はすぐに暖まり、冬物の服も必要になってから買い足せます。そのうえ今年は暖冬予報で、冬がいつ始まったのかさえ実感しにくいかもしれません。

だからこそ、あえて冬支度に少し手間をかけてみるのも悪くないと思います。防寒着を選んだり暖房器具を出したりする時間も、今回紹介した作品の登場人物たちのように、冬を迎える楽しみのひとつと考えてみるのはどうでしょう。そうすれば、季節の変わり目がいつもより少し特別に感じられるかもしれません。

準備が一段落したら、取り上げた漫画を読みながら温まるのもおすすめです。今年の冬のおともに、ぜひ手に取ってみてください。

(執筆: 森野沙織)

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