香取慎吾が45歳の“おじさん高校生”に! 『高校生家族』実写映画は2027年1月8日公開、ジャンプのギャグ漫画はどう実写映画になってきたのか
仲間りょうさん原作の実写映画『高校生家族』から、香取慎吾さんが演じる父・家谷一郎のキャラクターPVとキャラクターポスターが2026年10月23日に公開されました。クラスメイトの前で「俺は45歳、世帯持ちだ。だけど誰よりも高校生の自覚が強いんだ!」と宣言する場面から始まる映像で、一郎はバレー部で華麗なサーブを見せる一方、テストでは低い点数を取って8歳の娘・春香に冷たい目を向けられています。
映画の公開は2027年1月8日です。監督は「おっさんずラブ」シリーズや「極主夫道」で知られる瑠東東一郎さん、脚本はヨーロッパ企画の上田誠さんが務め、配給は東映です。母・静香役に仲里依紗さん、長男・光太郎役に齋藤潤さん、妹・春香役に永尾柚乃さんが決まっていて、飼い猫のゴメスまで俳優猫の大福が演じます。
週刊少年ジャンプのギャグ漫画が実写映画になるのは、じつは珍しいことではありません。『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』、さかのぼれば『ピューと吹く!ジャガー』まで、ジャンプの笑いは何度もスクリーンに挑んできました。そして香取さん自身も、かつてジャンプのギャグ漫画の主人公を演じたひとりです。この記事では、『高校生家族』がどんな作品かを押さえたうえで、ジャンプ発ギャグ・コメディ漫画の実写映画をたどり、うまくいく作品とそうでない作品を分けるものを考えます。
そもそも『高校生家族』はどんなマンガ?
『高校生家族』は、家族全員が同じ高校に通うことになった家谷家の日常を描くホームコメディです。入学式の朝、新しい学園生活に胸をふくらませる光太郎は、父の一郎から「同じ高校に通うことになった」と告げられます。一郎は中卒で、昔から高校生活に憧れていたのです。さらに同じく中卒の母・静香、小学生離れした知能を持つ妹の春香、そして飼い猫のゴメスまでが入学してしまい、光太郎の落ち着かない3年間が始まります。
原作は2020年から2023年まで週刊少年ジャンプで連載され、ジャンプコミックスは全11巻で完結しています。映画化の発表時に仲間さんは、連載終了から2年以上たっての実写化を喜びつつ「こんなゆるくて珍妙なマンガがジャンプでやっていたよっていうのを知る」機会になればとコメントしました。香取さんも「実は僕も中卒なんです」と明かし、高校生への憧れを一郎に重ねています。
前作『磯部磯兵衛物語』は2024年にドラマ化されていた
仲間さんの前作『磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜』は、グダグダに生きるダメな武士・磯兵衛を浮世絵風の絵で描くギャグ漫画です。2013年に『ONE PIECE』が休載した号の代原として掲載されて話題を呼び、同年から2017年まで連載されました。Flashアニメ、ショートアニメ、ミュージカルと展開し、2024年7月には杉野遥亮さん主演でWOWOWの連続ドラマ(全10話)にもなっています。
つまり仲間作品は、ドラマに続いて映画でも実写化されることになります。浮世絵風の絵柄そのものが笑いだった『磯部磯兵衛物語』に比べると、『高校生家族』は「親が同級生になる」という設定の一文で状況が伝わるぶん、映画向きの題材だといえそうです。
香取慎吾さんとジャンプのギャグ漫画は15年ぶりの再会
香取さんがジャンプのギャグ漫画の主人公を演じるのは、これが初めてではありません。2009年8月にTBSで始まった連続ドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で両津勘吉を演じ、2011年8月6日には劇場版『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!』(監督・川村泰祐)も公開されました。連続ドラマは放送当時、視聴率の伸び悩みが報じられましたが、映画化までこぎつけています。
両さんも一郎も、大人になっても子どものように全力で、周りを振り回す男です。両さんの制服から約15年、香取さんが今度は高校の制服を着るというのは、ジャンプのギャグ漫画を追いかけてきた読者にとってちょっとうれしい巡り合わせです。『こち亀』の50年については、別の記事でも取り上げています。
ジャンプのギャグ・コメディは、こうして実写映画になってきた
ここからは、週刊少年ジャンプ連載のギャグ・コメディ漫画を原作とする実写映画を公開順に見ていきます。ジャンプの実写化といえば『るろうに剣心』のようなアクション大作が目立ちますが、笑いを主軸にした作品にも、2000年代後半から途切れずに挑戦が続いてきました。
2008年『ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE』
うすた京介さんの『ピューと吹く!ジャガー』は、笛を吹く謎の男・ジャガージュン市と、ミュージシャンを目指す少年ピヨ彦らが繰り広げる不条理ギャグです。実写映画は2008年1月12日に公開され、ジャガーを要潤さんが演じ、監督はバラエティ番組の演出で知られるマッコイ斉藤さんが務めました。原作の空気をそのまま再現するのではなく、テレビのコント的なノリで映像に置き換えた一本です。
2013年『HK 変態仮面』
1992年から1993年にジャンプで連載された、あんど慶周さんの『究極!!変態仮面』が原作です。女性もののパンティをかぶると変身する高校生ヒーローという、文字にするだけで笑ってしまう設定を、鈴木亮平さんが体当たりで演じました。監督は福田雄一さん。2013年4月に公開されると話題を呼び、2016年5月には続編『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』も公開されています。連載終了から20年たった作品でも、設定に力があれば実写で息を吹き返すことを示した例です。
2016年『珍遊記』
漫☆画太郎さんの『珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜』は、西遊記をベースにした破天荒なギャグ漫画です。実写映画は2016年2月27日公開、主演は松山ケンイチさん、監督は山口雄大さんで、ピエール瀧さんや倉科カナさんらが脇を固めました。画太郎作品特有の汚さと勢いをどこまで映像にするのか、という難題に、実力派の俳優陣が真正面から付き合った作品です。
2017年『銀魂』と『斉木楠雄のΨ難』
ジャンプのギャグ実写化がもっとも勢いづいたのが2017年です。7月14日公開の『銀魂』は小栗旬さんが坂田銀時を演じ、最終興行収入38.4億円を記録して、この年に公開された実写邦画の1位になりました。翌2018年8月17日には続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』も公開されています。同じ2017年の10月21日には、山﨑賢人さん主演の『斉木楠雄のΨ難』が公開されました。超能力を隠して平穏に暮らしたい高校生という、静かな主人公が周囲に振り回される構図の作品です。
どちらも監督は福田雄一さんで、『HK 変態仮面』からの流れで見ると、ジャンプのギャグを実写にする仕事を同じ監督が続けて担ってきたことが分かります。『銀魂』は2026年の今も温浴施設とのコラボが続いており、その理由を別の記事でまとめています。
2018年『ニセコイ』
古味直志さんの『ニセコイ』は2011年から2016年までジャンプで連載されたラブコメディで、シリーズ累計は1,200万部を超えます。極道一家の息子とギャング組織の娘が、抗争をおさめるために「ニセモノの恋人」を演じるという設定です。実写映画は2018年12月21日公開で、中島健人さんと中条あやみさんが主演、監督は河合勇人さんでした。ギャグ漫画とは毛色が違いますが、ジャンプのコメディが恋愛映画の型で実写化された例として並べておきます。
一覧で見る、ジャンプ発ギャグ・コメディ漫画の実写映画
ここまでの作品を、公開順に一覧にまとめました。『高校生家族』はこの流れの最新作になります。
| No. | 公開日 | 映画タイトル | 原作(作者) | 主演 | 監督 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2008年1月12日 | ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE | ピューと吹く!ジャガー(うすた京介) | 要潤 | マッコイ斉藤 |
| 2 | 2011年8月6日 | こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ! | こちら葛飾区亀有公園前派出所(秋本治) | 香取慎吾 | 川村泰祐 |
| 3 | 2013年4月13日 | HK 変態仮面 | 究極!!変態仮面(あんど慶周) | 鈴木亮平 | 福田雄一 |
| 4 | 2016年2月27日 | 珍遊記 | 珍遊記〜太郎とゆかいな仲間たち〜(漫☆画太郎) | 松山ケンイチ | 山口雄大 |
| 5 | 2016年5月14日 | HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス | 究極!!変態仮面(あんど慶周) | 鈴木亮平 | 福田雄一 |
| 6 | 2017年7月14日 | 銀魂 | 銀魂(空知英秋) | 小栗旬 | 福田雄一 |
| 7 | 2017年10月21日 | 斉木楠雄のΨ難 | 斉木楠雄のΨ難(麻生周一) | 山﨑賢人 | 福田雄一 |
| 8 | 2018年8月17日 | 銀魂2 掟は破るためにこそある | 銀魂(空知英秋) | 小栗旬 | 福田雄一 |
| 9 | 2018年12月21日 | ニセコイ | ニセコイ(古味直志) | 中島健人、中条あやみ | 河合勇人 |
| 10 | 2027年1月8日(予定) | 高校生家族 | 高校生家族(仲間りょう) | 香取慎吾 | 瑠東東一郎 |
10本のうち5本を福田雄一さんが監督しているのは、一覧にしてみるとあらためて目立つ点です。一方で、主演は要潤さん、香取慎吾さん、鈴木亮平さん、松山ケンイチさん、小栗旬さん、山﨑賢人さんと、二枚目の役も多い俳優が並びます。かっこいい俳優が全力でふざける、という組み合わせが、ジャンプのギャグ実写化の定番になってきたことが分かります。
一覧に登場した原作マンガは、以下から全巻セットを探せます。
ギャグ漫画の実写化、成否を分けるのはどこか
ギャグ漫画の実写化は、ほかのジャンルよりも難しいといわれます。紙の上ではコマの間や吹き出しのテンポで成立していた笑いが、生身の人間が演じた瞬間に寒くなることがあるからです。ここまでの作品を並べてみると、うまくいった作品にはいくつか共通点が見えてきます。
コメディを撮り慣れた監督とチームに預けられるか
いちばん分かりやすいのは監督の存在です。福田雄一さんが『HK 変態仮面』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』と続けて手がけたように、ギャグの実写化は「笑いの間」を知っている作り手に任されてきました。『高校生家族』の瑠東東一郎さんも、「おっさんずラブ」シリーズや「極主夫道」など、大まじめな顔でおかしなことをやる作品を得意とする監督です。脚本の上田誠さんは劇団ヨーロッパ企画で会話劇の笑いを作り続けてきた人で、映画化発表時のコメントからも、原作のゆるさと「青春汁」を両方すくい上げようとしていることが伝わります。
設定を一文で説明できるか
「パンティをかぶって変身するヒーロー」「超能力を隠したい高校生」「家族全員が同級生」。実写化された作品の多くは、設定を一文で言えて、その一文だけで少し笑えるものです。予告編やポスター1枚で面白さが伝わるので、原作を知らない観客も劇場に呼び込めます。今回のキャラクターポスターも、「高く跳ぶ広いコートと世代の壁。超えてみせるよ気持ちでね」という一郎のセリフが添えられ、45歳の高校生がバレーに挑むという状況がひと目で飲み込めるつくりです。
短いギャグを1本の物語につなげられるか
ギャグ漫画の多くは1話完結の積み重ねでできていて、そのまま並べても2時間の映画にはなりません。『銀魂』の実写映画が原作の長編エピソード「紅桜篇」を軸にしたように、笑いの合間に観客を引っ張る1本の筋を通せるかどうかが分かれ目になります。『高校生家族』の場合は、これまでに公開された予告や場面写真を見るかぎり、一郎のバレー部での挑戦や、家族それぞれの青春が物語の芯になりそうです。キャラクターPVの終盤で一郎が口にする「やらなきゃきっと後悔する」という言葉は、ゆるいギャグの奥にある原作の熱さを映画が拾おうとしている表れといえます。
俳優が照れずに振り切れるか
最後は演じる側の覚悟です。ギャグの実写化で観客がいちばん冷めるのは、俳優が「これは冗談ですよ」と照れているのが透けて見えたときです。鈴木亮平さんの変態仮面も、小栗旬さんの銀時も、本人が本気だからこそ笑えました。香取さんは撮影初日に現場が大爆笑に包まれ、その時点で「この映画はいけたな」と感じたと語っています。「まさか36歳で高校生の役をできるなんて」と喜んだ仲里依紗さんも含め、大人たちがどこまで本気で高校生になりきれるかが、この映画の見どころになりそうです。
1月8日の公開までに、家谷家の3年間を読んでおく
『高校生家族』は全11巻で完結しているので、映画の公開までに無理なく読み切れる長さです。原作を読んでから劇場に行けば、どのエピソードが拾われ、どこが映画オリジナルなのかを見比べる楽しみが増えます。前作『磯部磯兵衛物語』とあわせて読むと、仲間りょうさんのゆるい笑いの中に、ときどき不意打ちのように熱い場面が差し込まれる作風もよく分かります。年末年始の休みに、香取さんの一郎を思い浮かべながらページをめくってみてください。
「なんだこれ」の一言が、マンガの棚を動かす
実写映画の公開は、原作マンガがもう一度手に取られる大きなきっかけです。とくにギャグ漫画は1話ごとに区切りがよく、数分の待ち時間でも読めて、読んでいる人がつい笑ってしまうので、隣の人にも面白さが伝わります。ホテルのラウンジや温浴施設の休憩スペース、カフェなど、人が少し腰を落ち着ける場所との相性がよいジャンルです。
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