10月8日は「そばの日」。そばが食べたくなる漫画3選

10月8日はそばの日
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10月8日がそばの日になったのは?

都内のそば店やうどん店で構成されている東京都麺類生活衛生同業組合によって、10月8日が「そばの日」と制定されました。これは毎年10月初旬に新そばが出回り始めることと、10が「そ」、8が「ば」と読めることが由来です。「8の『ば』はともかく、10が『そ』って?」と思う人もいるかもしれません。ですが、30日を『みそか』と読むことを考えれば、「ああ!」と思うでしょう。

そんな“そば”ですが、今のように細長い“蕎麦切り(そばきり)”が食べ始められたのは室町時代の末である16世紀頃。さらに広く一般に広まったのは江戸時代となる18世紀の始めです。そして今では、スーパーやコンビニエンスストアなどでは乾麺や生麺、さらにはそばのカップ麺が当り前のように販売されています。また外食ではワンコインで食べられる立ち食いそばから、ちょっと敷居が高そうな高級店まで存在します。

さらにインバウンドにより、外国人観光客からそばが注目を集めつつあります。彼らの視線は、寿司、すき焼き、天ぷらのような比較的高額な食べ物から、牛丼、卵サンドウィッチ、おにぎりと言った手軽な食品に移ってきました。そのひとつとして“そば”にスポットが当たっています。これまで日本人が当り前のように食べてきたそばに、外国人から「早い、安い、美味い」として注目が集まるのは面白いですね。そこで今回は、そばが食べたくなる3つの漫画作品を紹介します。

そばが食べたくなる漫画3選

■『そば屋幻庵』(原作:梶研吾、作画:かどたひろし/2008年~連載中)

舞台は江戸時代の半ば、元旗本の牧野玄太郎(まきの げんたろう)が主人公。その才覚ゆえに将来を嘱望されていた主人公が若隠居して屋台のそば屋を始めるところから物語が始まっています。基本的な展開として、屋台を引いて回る玄太郎の周囲で何かの事件が起こり、玄太郎の才覚や人望の豊かさで事件は解決に至ります。そしてそこまでに、いろんなそばが提供されて登場人物達のお腹を満たしていきます。

時代劇グルメの中で息の長い本作。人当たりの良い主人公が終始のんびりした雰囲気を醸し出していますが、そばに関してだけは妥協しない信条の持ち主なところが面白いです。特に常連のひとりであり芸者の藤丸との掛け合いも見どころ。玄太郎と藤丸の2人は、いつ男女の仲になってもおかしくないのですが、玄太郎の控えめな態度と藤丸の配慮から、そこに至っていないのが、少し残念かもしれません。予算の厳しさから時代劇ドラマが低迷している昨今。本作こそ実写化して欲しいなと思っている作品のひとつです。

■『名代辻そば異世界店』(原作:西村西、作画:林ふみの/2023年~連載中)

現代世界で「名代辻そば」の店長として働いていた主人公の初代雪人(はつしろ ゆきと)。交通事故で急死したものの、神様によって異世界に転生することになりました。中世ヨーロッパを思わせる世界で雪人が望んだ能力は「名代辻そば」を運営する能力。彼の作るそばは、異世界の人々に受け入れられただけでなく、最初は小さな、そして大きな影響を与えていきます。

洋食屋、居酒屋、喫茶店といろんな飲食店による異世界転生漫画があり、本作もその一つ。先にインバウンド客によるそば屋への注目を書いたように、異世界の人々がそばと出会った衝撃はオーバーアクションの一言です。でも、それはそばを常食としている日本人だからでしょう。物語が展開していく中で、雪人だけでなく、彼の仲間が活躍の場を広げていき、焼きそばやおにぎりなども登場して、異世界の人々の胃袋を満たしていく様子は微笑ましく読めます。

■『そばギャルとおじさん』(原作:本橋隆司、作画:稲葉そーへー/2025年~連載中)

40代サラリーマンである秋丸泰造(あきまる たいぞう)は、偶然となりあった金髪ナイスバディのギャルの百瀬じゅりな(ももせ-)と天ぷらをシェアしたことから“ソフレ(そばフレンドの略)”となります。当初は戸惑っていた秋丸でしたが、再会したじゅりなの強引な行動もあって、いろんなそば屋でいろんなそばを一緒に味わいます。さらにじゅりなの後輩であるヒナや秋丸の知人の江戸っこさん(本名不明)も加わって、そば好きな仲間の輪が広がっていきます。

中年サラリーマンとギャル。普通に暮らしていれば、交わることのない2人が立ち食いそば屋で隣り合い、同じそばを食べたリアクションが見ものです。もちろん秋丸の方がそば屋のキャリアは長いのですが、立ち食いそばの美味さに気づいて2年と経験が浅いからこそ、じゅりなの新鮮なセンスが秋丸を驚かせることもあります。秋丸から勧められたそばを食べたじゅりなは、あまりの美味さに興奮して「ん~ん~」と肘で秋丸を突っつきます。「うっとうしくないのかなあ」と思いつつ、うらやましくも思えてしまいます。

3つの漫画で学べるポイント

江戸中期を舞台にした『そば屋幻庵』では、現代のそば切りが一般に食べ始められた江戸時代の状況を楽しむことができます。今では牛丼やハンバーガーやラーメンなど、日常的な外食店が増えていますが、江戸時代におけるファーストフードとして一番の立ち位置である屋台そば屋の存在感が楽しめます。その意味では、主人公の周囲で起こる様々なトラブルは、反対にそばの添え物かもしれませんね。

『名代辻そば異世界店』は異世界の人々が見せるオーバーアクションで、そばを始めとした日常食の素晴らしさを堪能できます。それだけ日本の立ち食いそばチェーン店のメニューがよくできている証拠でもあります。『名代辻そば異世界店』で登場するキャラクターのリアクションのまま実際の店に食べに行きたくなる点では、『そばギャルとおじさん』も同様です。富士そば、ゆで太郎と言った実在する店舗、かつ本当に提供されているメニューが出てくるので、秋丸やじゅりなが食べているのと同じ感覚を味わうことができます。

新型コロナの感染拡大もあり、駅中の立ち食いそば店こそ減ってしまった面もありますが、日本人なら当り前のように食べているそば。視点を変えれば、日本特有の食べ物であるのは事実です。当り前に食べていたのでは、ついつい見逃してしまうことの多い「そばのよい点」が、3つの作品から十分に読み取れると思います。

まとめ – そばを通じて日本のよさも再認識

ことわざに“灯台下暗し”とあるように、自分の身近にあるからこそ、なかなか目に入らない物事があります。それでも、それが実際に食べることができるそばであれば、漫画を読む以上に興味をかき立てることになるでしょう。

10月8日が「そばの日」となったように、そろそろ新そばが出回り始める季節です。「立ち食いそばで新そば?」と思うかもしれませんが、それは味わいに加える心理的なスパイスのひとつに過ぎません。いつどこで食べても、それなりに美味しいのは日本における見逃せない特徴のひとつです。とりあえずそばを味わうことで、そんな日本のよさも再認識してみましょう。

(執筆: 県田勢)

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