『夏目友人帳』『桜蘭高校ホスト部』が新宿駅に“めくれる巨大マンガ”で出現! 街頭のマンガ広告はいま「体験」へ動いている

2026年7月20日から26日まで、東京メトロ丸ノ内線・新宿駅のメトロプロムナードに、少し変わった巨大広告が出現しています。少女漫画誌『LaLa』の創刊50周年を記念した企画で、『夏目友人帳』『桜蘭高校ホスト部』『CIPHER』をはじめとする白泉社の34作品が壁一面に並ぶ、圧巻の空間です。

この広告のいちばんの特徴は、ただ大きいことではありません。実際に手で触れて“めくれる”仕掛けになっている点です。表紙にあたる面をめくると作品タイトルと試し読み用のQRコードが現れ、その場でスマホから作品を読み始められます。通行人が立ち止まり、手を伸ばし、ページをめくる。広告そのものが小さな体験になっているのです。

駅の巨大広告といえば、これまでは通り過ぎる人に「見せる」ものでした。それがいま、「触らせる」「読ませる」方向へと少しずつ形を変えています。マンガを使った街頭・交通広告は、なぜここまで大掛かりになり、そして体験型へと寄っていったのでしょうか。話題になった事例を振り返りながら、その流れを追ってみます。

目次

新宿駅の“めくれるまんが”広告とは

今回の広告は、東京メトロ丸ノ内線・新宿駅のメトロプロムナードにある「新宿メトロスーパープレミアムセット」の枠を使ったものです。掲出期間は2026年7月20日(月・祝)から26日(日)まで。体験できる時間は毎日10時から20時までとされています。地下通路の壁面をまるごと使う、通行量の多い場所ならではの大型展開です。

34作品が並び、めくると試し読みQRが現れる

壁面には全34作品が「めくれるまんが」として掲出されています。各作品の表紙にはあらすじが一言で添えられ、ページをめくると作品名と試し読み用のQRコードが姿を見せる構成です。気になった作品をその場で数ページ読めるため、「広告を見た」で終わらず「作品を読み始めた」まで一気に進めるのが狙いといえます。

なかでも『CIPHER』(成田美名子)、『桜蘭高校ホスト部』(葉鳥ビスコ)、『夏目友人帳』(緑川ゆき)の主要3作品については、作者による描き下ろしイラストやメッセージ、名シーンを載せた巨大なページが用意されています。長く読み継がれてきた作品の記念展示としても見応えのある内容です。

『夏目友人帳』は2003年連載開始のロングセラーで、妖(あやかし)との交流を静かに描く作風で世代を超えて支持されてきました。『桜蘭高校ホスト部』は名門校のホスト部を舞台にした人気ラブコメで、アニメ化・実写化もされた代表作です。気になった方は、下記から各作品の全巻セットをチェックできます。

駅や空港に“出現”したマンガ広告、話題の事例

マンガやアニメを大きく打ち出した交通広告は、この数年でぐっと目立つようになりました。単に大きいだけでなく、形を工夫したり、その場で楽しめる仕掛けを組み込んだりと、演出も凝ってきています。ここでは近年の話題事例を、体験や仕掛けという視点で振り返ります。

『進撃の巨人』最終巻の“メディアを飛び出す”キャンペーン(2021年)

2021年6月、『進撃の巨人』最終34巻の発売にあわせて、作者・諫山創さんが描き下ろしたイラストを使った大規模なキャンペーンが展開されました。朝日新聞にはキオスクへ超大型巨人が襲いかかるように見える変形広告が投入され、紙面という枠を飛び出す見せ方が大きな話題になりました。広告の「枠」そのものを演出に使う発想は、その後の街頭・交通広告にも影響を与えています。

成田空港から新幹線の駅へ広がった「MANGA MANNERS」(2024〜2025年)

講談社は2024年10月、成田空港第2ターミナルの入国審査場前に、17作品のキャラクターが日本のマナーを紹介する巨大なウェルカムウォールを掲出しました。好評を受けて2025年4月からは、東京・品川・名古屋・京都・新大阪の東海道新幹線各駅にも展開が広がっています。『進撃の巨人』『ブルーロック』『メダリスト』といった人気作が、訪日客を迎える“顔”として起用されました。作品の世界観を借りて公共的なメッセージを届ける、マンガ広告の新しい使い方といえます。

少女漫画誌が新宿に巨大広告を出す流れ

今回の『LaLa』50周年広告のように、少女漫画・女性向けコミック誌が大型の交通広告を打つ動きも増えています。過去には乙女向けコミック誌のWEB化を記念して、新宿の街なかにインパクトのある巨大広告が登場し、意外な人物とのコラボで話題を集めたこともありました。かつては少年誌の話題作が中心だった大型マンガ広告に、少女誌・女性向け誌が加わってきているのは、この分野の広がりを示す変化です。

そして今回、“めくれる”体験型へ

こうした流れの最新地点にあるのが、今回の新宿駅の「めくれるまんが」広告です。見せるだけでなく、触れて、めくって、その場で試し読みまでつなげる。広告を通り過ぎる情報ではなく、立ち止まって手を動かす体験に変えている点で、マンガ広告が一段進んだことを感じさせます。

近年の話題マンガ広告まとめ

ここまで紹介した事例を、掲出の場と特徴で整理します。大型化と体験化という二つの方向が、同時に進んできたことが見て取れます。

スクロールできます
No.時期内容場所・特徴
12021年6月『進撃の巨人』最終巻キャンペーン朝日新聞に変形広告など、枠を飛び出す演出
22024年10月「MANGA MANNERS」ウェルカムウォール成田空港・入国審査場前、17作品でマナー紹介
32025年4月「MANGA MANNERS」新幹線駅へ拡大東京・品川・名古屋・京都・新大阪の各駅
42026年7月『LaLa』50周年“めくれるまんが”広告新宿駅メトロプロムナード、34作品・試し読みQR

個人の皆様へ。会期は短いので、新宿駅で“めくって”みてください

『LaLa』50周年の「めくれるまんが」広告は、2026年7月26日(日)までの期間限定です。丸ノ内線・新宿駅のメトロプロムナードを通る機会があれば、ぜひ実際に手を伸ばしてみてください。表紙をめくって現れるQRから、その場で気になった作品を読み始められます。『夏目友人帳』や『桜蘭高校ホスト部』の描き下ろし巨大ページは、ファンなら一見の価値ありです。

施設運営者の皆様へ。“通り過ぎる場所”を“立ち止まる場所”に

この広告が示しているのは、人は「読めるもの」があると足を止める、というシンプルな事実です。駅の通路は本来、ただ通り過ぎるだけの場所です。そこにめくって読める仕掛けを置いただけで、通行人が立ち止まり、手を動かし、作品に触れていきます。滞在時間の短い場所ほど、こうした“手に取れるコンテンツ”の効果は大きくなります。

同じことは、待合スペースや休憩コーナーを持つ施設にもあてはまります。数分の待ち時間を持て余しているお客様に、思わず手が伸びるマンガを置いておく。それだけで、退屈だった時間が「またここで過ごしたい」に変わっていきます。スマートコミックは、施設に合わせた選書でマンガコーナーの設置・運用をまるごとお手伝いするサービスです。人が集まり、立ち止まる空間づくりのヒントとして、料金プランや導入事例をのぞいてみてください。

  • URLをコピーしました!
目次