「ザ・ファブル」第2期は2027年1月放送、実写が先でアニメが後という逆回りの映像化をたどる
2026年9月15日、南勝久さんの「ザ・ファブル」を原作とするTVアニメ第2期が、2027年1月に日本テレビ系で放送開始すると発表されました。あわせてダークな雰囲気のティザーPVも公開されています。
第2期で描かれるのは「山岡編」です。PVには主人公の佐藤明をはじめ、佐藤洋子、海老原剛士、ボス、浜田広志が登場し、洋子が明に「組織の人間を見たわ。山岡っていう男よ」と告げる場面や、暗躍する砂川、怯えた表情のマツの姿が映し出されました。
ここで少し立ち止まりたいのが、この作品がたどってきた順番です。「ザ・ファブル」は先に実写映画が2作つくられ、そのあとでテレビアニメになりました。マンガの映像化としては、実はかなり珍しい回り方をしています。
第2期は「山岡編」、2027年1月から日本テレビ系で
「ザ・ファブル」は、無敵の殺し屋“ファブル”が1年間誰も殺してはならない殺し屋休業生活を送るという物語です。原作は講談社の「週刊ヤングマガジン」で2014年49号から連載が始まり、第1部は2019年51号までの全22巻。2025年16号からは第3部にあたる「ザ・ファブル The third secret」の連載が続いており、シリーズ累計部数は2026年4月時点で3000万部を突破しています。
アニメ第2期の監督は髙橋良輔さん、シリーズ構成は高島雄哉さん、アニメーション制作は手塚プロダクションが担当します。キャストは佐藤明役の興津和幸さん、佐藤洋子役の沢城みゆきさん、清水岬役の花澤香菜さん、海老原剛士役の大塚明夫さんらが続投します。
実写2作のあとにアニメという、珍しい順番
マンガが映像になるとき、多くの作品はまずアニメになります。アニメでファン層を広げ、そのうえで実写映画やドラマに進むのが一般的な流れです。原作の絵柄や世界観をそのまま動かせるアニメのほうが、原作読者にとっての違和感が小さいためです。
「ザ・ファブル」の場合、順番が逆でした。実写映画の第1作が2019年6月21日、第2作「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」が2021年6月18日に公開され、テレビアニメ第1期が始まったのは2024年4月7日です。原作の連載開始から数えると、アニメ化までに約10年かかっています。
原作が連載中から高く評価されていたにもかかわらずアニメが後回しになった作品は、それなりの数があります。そしてその多くに、共通した事情が見え隠れします。まずは実際の例を並べてみます。
実写が先でアニメが後になった作品たち
公開・放送の年を軸に、実写が先行してアニメがあとから続いた作品を古い順に見ていきます。順番が逆になるまでの間隔は、数か月のものから10年を超えるものまで幅があります。
金田一少年の事件簿(ドラマ1995年、アニメ1997年)
天樹征丸さんと金成陽三郎さんが原作、さとうふみやさんが作画を担当し、1992年から「週刊少年マガジン」で連載が始まった推理マンガです。シリーズ累計部数は2019年10月時点で1億部を突破しています。
堂本剛さん主演のテレビドラマ第1シリーズが1995年7月から放送され、劇場版アニメ「オペラ座館・新たなる殺人」の公開が1996年12月、テレビアニメの放送開始は1997年4月でした。少年マガジンの看板作品でありながら、最初に世に広く知られた形はドラマだったことになります。
GTO(ドラマ1998年、アニメ1999年)
藤沢とおるさんが「週刊少年マガジン」で1996年12月から2002年1月まで連載した作品です。反町隆史さん主演のテレビドラマが1998年にフジテレビで放送されて社会現象級のヒットとなり、テレビアニメはその翌年、1999年6月30日から2000年9月24日まで同じフジテレビで放送されました。
元暴走族の教師が問題だらけの学級を立て直すという設定は実写と相性がよく、ドラマが原作の知名度を一気に押し上げた典型例です。
ごくせん(ドラマ2002年、アニメ2004年)
森本梢子さんが集英社の「YOU」で連載した作品で、任侠一家の跡取り娘が高校教師として働くという設定です。仲間由紀恵さん主演のドラマが2002年に日本テレビで放送され、テレビアニメは2004年1月7日から3月31日まで放送されました。
こちらも女性誌連載という出自でありながら、ドラマのヒットによって読者層が大きく広がったケースです。
ピンポン(実写映画2002年、アニメ2014年)
松本大洋さんが「ビッグコミックスピリッツ」で1996年から1997年にかけて連載した全5巻の卓球マンガです。窪塚洋介さん主演の実写映画が2002年7月20日に公開され、いまも邦画の青春映画の代表格として語られています。
テレビアニメが放送されたのは、そこから12年後の2014年4月11日でした。実写とアニメの間隔としては本稿で取り上げたなかで最も長く、しかもアニメ版は松本さんの原画の線をそのまま生かした映像で高い評価を受けています。同じ原作から、まったく質感の異なる映像作品が2つ生まれた例だと言えます。
デスノート(実写映画2006年6月、アニメ2006年10月)
実写映画の前編が2006年6月17日に公開され、テレビアニメの放送が始まったのは同じ年の10月3日でした。実写映画の後編「デスノート the Last name」は11月3日公開ですから、実写とアニメがほぼ並走していたことになります。
間隔がわずか3か月半という点で、これは「実写が先」というより、実写の公開にアニメを合わせにいった形に近いかもしれません。原作の勢いがそのまま複数のメディアに同時展開した例です。
のだめカンタービレ(ドラマ2006年、アニメ2007年)
二ノ宮知子さんが講談社の「Kiss」で連載したクラシック音楽マンガです。上野樹里さんと玉木宏さんが主演したテレビドラマが2006年10月にフジテレビで放送され、テレビアニメ第1期は2007年1月11日から始まりました。
ドラマの放送が終わってすぐアニメが立ち上がる形で、原作の音楽をどう鳴らすかという課題に対して、実写とアニメがそれぞれ違う答えを出しています。
極主夫道(ドラマ2020年、アニメ2021年)
おおのこうすけさんが「くらげバンチ」で連載する、元極道が専業主夫として生きる作品です。玉木宏さん主演のテレビドラマが2020年10月11日に日本テレビで放送を開始し、アニメは2021年4月8日からNetflixで配信されました。
この作品は、絵柄そのものが「実写のような静止した迫力」を持っているのが特徴で、ドラマ版もその間合いを再現する演出を取っていました。近年の例としては、実写とアニメの距離が最も近い作品のひとつです。
なぜ、実写が先になることがあるのか
これらの作品を並べると、いくつかの共通点が浮かび上がります。
まず、題材が現実寄りであることです。学校、職場、家庭、卓球場といった舞台は、実写にしたときに特別な映像技術を必要としません。逆に言えば、アニメにしなくても成立してしまう題材だということでもあります。「ザ・ファブル」の日常パートも同じで、殺し屋が普通に暮らそうとするという設定は、生身の俳優が演じたほうが可笑しさが増す構造を持っています。
次に、主人公のキャラクターが俳優の演技と結びつきやすいことです。反町隆史さんの鬼塚英吉、仲間由紀恵さんのヤンクミ、玉木宏さんの龍のように、実写のキャストが原作のイメージを塗り替えるほどの存在感を持った例が並びます。「ザ・ファブル」でも岡田准一さんが演じた佐藤明が高く評価され、その評価が原作へ読者を呼び戻しました。
制作の順番を決めているのは、原作の人気だけではありません。テレビドラマは1クールで企画が動き、映画も撮影から公開までの見通しが立てやすい一方で、アニメは全話ぶんの作画リソースを確保するところから始まります。近年は制作スケジュールの逼迫が繰り返し報じられており、実写が先に動いた作品ほど、アニメ化までに時間がかかる構図が生まれやすくなっています。「ピンポン」の12年という間隔は極端な例ですが、その分だけ完成度の高い映像が届いたとも言えます。
そしてもうひとつ、青年誌・女性誌の連載作品が多いという点があります。少年誌の看板作品は連載中にアニメ化されるのが通例ですが、青年誌や女性誌の作品は、まず実写ドラマや映画としてテレビ局や映画会社の目に留まることが少なくありません。「ザ・ファブル」が掲載されている「週刊ヤングマガジン」も、この流れに当てはまります。
結果として、原作ファンにとっては同じ物語を二度、まったく違う手触りで味わえることになります。実写で入った人がアニメで戻ってくる。アニメで知った人が実写を観に行く。そのたびに原作へ手が伸びるという循環が生まれます。
実写が先行してアニメ化された作品の一覧
本文で取り上げた作品を、実写化の年が早い順に整理しました。実写からアニメまでの間隔も並べています。
| No. | 作品名 | 作者/掲載誌 | 実写化 | アニメ化 | 間隔 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金田一少年の事件簿 | 天樹征丸・金成陽三郎・さとうふみや/週刊少年マガジン | 1995年7月 ドラマ | 1997年4月 | 約2年 |
| 2 | GTO | 藤沢とおる/週刊少年マガジン | 1998年 ドラマ | 1999年6月 | 約1年 |
| 3 | ごくせん | 森本梢子/YOU | 2002年 ドラマ | 2004年1月 | 約2年 |
| 4 | ピンポン | 松本大洋/ビッグコミックスピリッツ | 2002年7月 映画 | 2014年4月 | 約12年 |
| 5 | デスノート | 大場つぐみ・小畑健/週刊少年ジャンプ | 2006年6月 映画 | 2006年10月 | 約4か月 |
| 6 | のだめカンタービレ | 二ノ宮知子/Kiss | 2006年10月 ドラマ | 2007年1月 | 約3か月 |
| 7 | ザ・ファブル | 南勝久/週刊ヤングマガジン | 2019年6月 映画 | 2024年4月 | 約5年 |
| 8 | 極主夫道 | おおのこうすけ/くらげバンチ | 2020年10月 ドラマ | 2021年4月 | 約半年 |
放送まで1年、第1部の22巻を読み直しておく
第2期の放送開始は2027年1月です。発表から放送までおよそ1年ありますから、原作を読み直すには十分な時間があります。
第2期で描かれる「山岡編」は原作の中盤にあたり、第1期で描かれた人間関係が積み重なったうえで動き出すパートです。第1期を追っていた人ほど、放送前に第1部を通して読み返しておくと、登場人物の立ち位置が整理された状態で本編に入れます。すでに第3部の連載も進んでいるため、いま原作に戻ることは先の展開への準備にもなります。
アニメの放送が始まる前に、棚へ入れておきたい作品
施設の休憩スペースにコミックを置いている場合、アニメ化の発表から放送開始までの期間は、棚を仕込むのにちょうどよいタイミングです。放送が始まってから慌てて手配するより、話題が立ち上がる前に置いておいたほうが、利用者が「ここに置いてあった」と感じる確率が上がります。
「ザ・ファブル」のような青年マンガは、温浴施設やサウナ、ネットカフェのように大人の滞在時間が長い場所と相性がよい作品です。1話完結に近いテンポで読み進められるため、限られた休憩時間でも満足感が得られます。実写映画を観た層とアニメを観た層の両方に届く作品でもあり、幅広い年齢の利用者に刺さります。
スマートコミックは、法人・店舗向けにコミックをレンタルで導入できるサービスです。アニメ化や実写化のタイミングに合わせた入れ替えにも対応していますので、詳しくは以下をご覧ください。
