ホテルのデイユースプランの始め方——料金設定・稼働パターン・収益シミュレーションの実務

デイユースプランの実態。ホテルにとっての メリットとは?

デイユースプラン(日帰り客室利用)は、チェックアウトからチェックインまでの「空いている時間帯」に客室を販売し、追加の売上を生む施策です。コロナ禍をきっかけにテレワーク需要で急速に普及しましたが、2025年現在もワーケーション、推し活、記念日利用、休憩需要など多様な用途で定着しています。

しかし「導入したいが、料金設定や宿泊との兼ね合いがわからない」という声が多いのも事実です。本記事では、デイユースプランの導入判断に必要な実務知識を、収益シミュレーション付きで解説します。

目次

デイユースの基本設計

デイユースは、宿泊客がチェックアウトした後〜次の宿泊客がチェックインするまでの時間帯に客室を販売する仕組みです。

一般的な設定例として、利用時間帯は10:00〜18:00(または11:00〜17:00)、利用時間は3〜8時間のパッケージ、ターゲットは、テレワーク・リモートワーク(個室で集中したいビジネスパーソン)、カップル・友人(デートや記念日の昼間利用)、推し活・イベント参加者(近隣のライブ会場や聖地巡礼の拠点)、近隣住民(日帰りリフレッシュ、大浴場利用)です。

料金設定の考え方

デイユースの料金は「宿泊料金の40〜60%程度」が一般的な目安です。宿泊料金が10,000円の客室なら、デイユースは4,000〜6,000円。

ただし、料金設定で最も重要なのは「宿泊予約とのカニバリゼーション(共食い)を防ぐ」ことです。繁忙期でデイユースを販売した結果、宿泊予約を入れられなくなっては本末転倒です。

カニバリを防ぐルールとして、宿泊の稼働率が80%以上が見込める日はデイユースを販売しない。デイユースの予約受付は前日まで(当日の宿泊予約を優先)。デイユースの終了時刻は宿泊チェックインの2時間前(清掃時間を確保)。

収益シミュレーション

30室のビジネスホテル、平日の宿泊稼働率50%(15室が空室)、デイユース料金5,000円/室で試算します。

空室15室のうち5室をデイユースで販売した場合、1日の追加売上は5室×5,000円=25,000円。変動費(清掃費2,500円+アメニティ500円)×5室=15,000円。1日の追加利益は10,000円。

月間営業日20日で計算すると、月間追加利益は10,000円×20日=20万円。年間では240万円。

宿泊で埋まらなかった空室が生んだ「ゼロだったはずの売上」であることを考えると、固定費の回収に大きく貢献します。

ただし、清掃スタッフのシフト調整(デイユース退室後→宿泊客チェックイン前の清掃が必要)や、リネン・アメニティの追加コストは実務的に発生するため、オペレーションの設計が収益性を左右します。

デイユースの集客チャネル

OTAでのデイユース販売は、じゃらん・楽天・一休などが対応しています。「デイユース」のカテゴリで検索する利用者がいるため、宿泊とは別のターゲット層にリーチできます。

公式サイトでの直販は、OTA手数料がかからないため利益率が高い。公式サイトにデイユース専用ページを設け、Googleで「○○駅 デイユース」「○○ ホテル テレワーク」で検索した際に表示されるようSEO対策を行うと効果的です。

Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)への投稿で、デイユースプランの情報を定期的に発信することも、近隣ユーザーへの認知拡大に有効です。

まとめ

デイユースは「宿泊で埋まらない時間帯を収益化する」施策であり、新たな設備投資なしに始められます。ただし、宿泊予約とのカニバリ防止、清掃オペレーションの設計、料金設定の適正化という3つの実務課題をクリアすることが前提です。

まずは平日の稼働率が低い日に限定して小さく始め、需要と収益性を検証した上で拡大するのが安全なアプローチです。

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