ミラノ冬季五輪間近! フィギュアスケートがもっと楽しくなる漫画3選

冬季五輪でメダルの期待がかかるフィギュアスケート
2026年は冬季五輪の年。イタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォで冬季オリンピックが2月、冬季パラリンピックが3月にそれぞれ開催されます。
注目競技といえば、やはりフィギュアスケート。近年の冬季五輪における同種目の日本選手の活躍はめざましいものがあります。2014年のソチ五輪と2018年の平昌五輪では男子シングルで羽生結弦が二大会連続の金メダルに輝きました。2022年の北京五輪では男子シングルで鍵山優真と宇野昌磨が揃って表彰台に上がり、女子シングルでも坂本花織が銅メダルに。なお、北京五輪で日本は団体戦でもメダルを獲得しています。
このように、今や世界レベルの選手が揃うフィギュア強豪国である日本ですが、ここに至るまでには道を切り開いた多くの先人たちがいます。1992年のアルベールビル五輪で銀メダルを獲得した伊藤みどりや2006年のトリノ五輪で日本のフィギュア選手として初の五輪金メダリストとなった荒川静香。2010年のバンクーバー五輪で日本の男子シングル選手として初の銅メダルに輝いた高橋大輔、同じくバンクーバー五輪で銀メダルを獲得した浅田真央ら優れた選手たちの努力と挑戦こそが、日本のフィギュアスケートの技術、素晴らしさを底上げし続けてきたといえるでしょう。
フィギュアスケートといえば、時代の流れとともに技の進化も著しいものがあります。たとえば、女子シングル
では、伊藤みどりや浅田真央の代名詞であったトリプル・アクセル、さらに四回転などの難易度の高いジャンプに挑む選手が現れるようになりました。男子シングルでもアメリカのイリア・マリニン選手が人類初となる四回転アクセル(四回転半ジャンプ)を成功させたのが記憶に新しいところ。ミラノ五輪では世界の強豪たちがどんな技で魅せてくれるか?というのも非常に楽しみなところです。
そこで、今回はミラノ五輪に向けて読めばフィギュアスケートがもっと楽しくなる3作品をご紹介したいと思います。
フィギュアスケートが楽しくなる漫画3選
■『メダリスト』(つるまいかだ/2020年~)
小学生の少女・結束いのりがコーチとなる元アイスダンス選手・明浦路司と一緒にフィギュアスケートの“メダリスト”を目指す物語。2025年~アニメ化もされていて、アニメ第1期は米津玄師が歌う主題歌とともに話題となりました。なお、アニメ第2期は、2026年1月24日(土)スタート。
ただただスケートがしたくてフィギュアの世界に飛び込んだいのり。しかし、憧れの氷上で待っていたのは決して楽な道ではありませんでした。まず初級、2級、3級、といった検定試験「バッジテスト」に合格しなくてはならず、当然、級が上がるとともに難しい技術が求められます。そして、級を取得して大会に出ると、強力なライバルたちとしのぎを削らなくてはなりません。しかし、厳しい中でもいのりは「一番になりたい」という大きな夢とともにリンクに身を投じていきます。純粋にひたむきに頂点を目指すこの小さなヒロインの姿が、とてもみずみずしく愛らしく心を揺さぶる作品です。
■『ブリザードアクセル』(鈴木央/2005年~2007年)
主人公の少年・北里吹雪は幼い頃から両親に無視され、それゆえに注目されることを誰よりも求めていました。喧嘩に明け暮れていた吹雪ですが、スケートリンクで見事なジャンプを決めたのを機に、フィギュアスケーターへの道を本格的に歩み始めます。
誰よりも認められる選手になるために、才能をいかんなく発揮して挑戦し続ける吹雪。彼が強くなるほどに技や戦い方が現実離れしていく部分もありますが、それも含めて少年漫画らしい熱くカラッとしたエンタメ感にあふれた作品となっています。大技を決める吹雪に度肝を抜かれるライバルたちのコミカルなリアクションなど笑える要素もばっちりです。
■『アイスフォレスト』(さいとうちほ/2007年~2012年)
物語のヒロインとなるのは、元シングル選手の珠洲雪野。煌河グループの御曹司・煌河一己の導きでアイスダンスへ転向した彼女が、パートナーのロマン・ギルベールとともにアイスダンサーとして成長していく姿を描いた氷上ロマンです。
『円舞曲は白いドレスで』『とりかえ・ばや』などで知られるさいとうちほが描くアイスダンスの世界はとても美しく優雅。アイスダンスのカップルたちが氷上で華麗に舞う姿にうっとり魅せられてしまいます。また、主人公・雪野と彼女を支える一己、パートナーのロマンらをめぐるドラマチックな展開も見どころの一つ。登場人物たちの情熱や葛藤、愛情や憎しみが渦巻く濃厚なストーリーからも目が離せない作品です。
3つの漫画で学べるポイント
今回紹介する3作品は、三者三様でフィギュアスケートというスポーツの特徴や奥深さを伝えています。
『メダリスト』を読むとよくわかるのが、フィギュアスケートは選手とコーチの二人三脚で挑む競技であること。いのりのコーチとなった司は、彼女が夢を叶えるために精一杯サポートし、彼の献身的な支えがいのりをスケーターとして強くしていきます。フィギュアスケートの試合で演技を終えた選手がコーチとともに判定を待つ席は、彼らがその場で喜びのキスを交わしたり涙を流したりすることから「キスアンドクライ」と呼ばれていますが、選手とコーチがともに喜びともに泣く、それほどの信頼が大切なのだ、ということが本作のいのりと司の姿からも伺えるのです。
『ブリザードアクセル』が伝えるのは、まずフィギュアスケートは表現するスポーツであること。観客の注目を浴びるほどに力を発揮する吹雪の姿を通して、氷上の舞台でいかに審査員や観客の心を掴む演技をするか、というフィギュアスケートらしい醍醐味が描かれていきます。その一方で吹雪が自身の基礎力のなさを思い知らされる場面もあり、魅せるためには鍛錬が欠かせない、という部分もしっかり伝えている作品です。
そして、『アイスフォレスト』が描き出すのは、アイスダンスの独自性と奥深さ。「氷上の社交ダンス」と呼ばれるこの競技は、高いジャンプやアクロバティックな要素は含まれず、むしろステップやエッジワーク、踊る二人の同調性や芸術性などが重視されます。雪野とロマンをはじめ本作に登場するカップルたちはおのおののやり方で美しさや同調性を追求しつつパートナー同士の関係性も築いており、切磋琢磨する彼らの姿からシングルやペアとはまったく違うアイスダンス競技の魅力がよくわかるはずです。
余談ですが、かつて高橋大輔が村元哉中とのアイスダンスカップル“かなだい”を結成したことが話題になりましたが、その後、2025年に島田高志郎と櫛田育良がカップル結成、紀平梨花も西山真瑚と組んでアイスダンスへの挑戦をスタートさせ、シングルで活躍した選手がこの種目にチャレンジするケースが見られるようになっています。したがって、今後国内のアイスダンスがいっそう盛り上がることが期待でき、より楽しむためにも本作を読んでおいて損はないといえます。
まとめ – シングルにペア、アイスダンス……五輪で各種目の戦いを楽しもう
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのフィギュアスケート競技、日本からは男子シングルで鍵山優真、佐藤駿、三浦佳生、女子シングルで坂本花織、中井亜美、千葉百音とそれぞれ3名、ペアは“ゆなすみ”こと長岡柚奈と森口澄士と“りくりゅう”こと三浦璃来と木原龍一の2組が出場します。アイスダンスは個人戦の出場はありませんが、団体戦に“うたまさ”こと吉田唄菜と森田真沙也のカップルが参加予定です。
シングルにペア、アイスダンス。それぞれの種目ならではの演技、戦い方がある中、五輪の氷上舞台で輝くのは果たしてどの選手なのか? 今回、紹介したフィギュアスケート競技への理解度を深められる3作品を読んでいただけたら、冬季五輪、さらにその後開催される世界選手権などもより楽しめると思います。ぜひ、試合を観る前に予習する感覚で手にとってみてください。
(執筆: 田下愛)
