どちらが生き残るか!? 最高にアツくて泣けるバトル活劇『忍者と極道』

忍者と極道

皆さんは「忍者」、そして「極道」に対してどんなイメージを持っているでしょうか?

どちらも社会の裏で暗躍する集団という点は似ていますが、活動する時代も場所も違うため両者が直接比べられることは少ないでしょう。

しかし最近、この2つの集団が全力バトルを繰り広げる漫画が人気となっています。今回はアニメ化も発表されたホットな作品『忍者と極道』を紹介したいと思います!

※ 本作は忍者、極道に異なる読み方があるため、キャラクター名の場合は忍者(シノハ)、極道(キワミ)と書き分けています。

目次

偶然出会った運命の2人

舞台は現代日本。東京のオフィス街でビジネスマンの青年が落としかけたスマホを、通りすがりの少年がすばやくキャッチしたところから物語が始まります。

無表情な少年の名は多仲 忍者(シノハ)、朗らかな青年の名は輝村 極道(キワミ)。

落としたスマホのカバーが偶然好きなアニメのデザインだったことから2人は意気投合し、たまに会ってはオタク談義に花を咲かせる友人関係となりました。

しかし運命とは残酷です。

彼らはそれぞれが300年以上も昔から壮絶な殺し合いを続けてきた勢力、「忍者」と「極道」の未来を担う若きエースだったのです。

組織力と残虐性で悪事を働く極道、そんな彼らの前に現れて圧倒的な戦闘力で倒していく忍者。

2つの組織が日本中を巻き込んだ大抗争へ突き進むなか、シノハとキワミも互いの素性を知らないまま激しい戦いに身を投じていくというストーリーです。

大迫力の異能バトルと、泣ける人間ドラマ

本作の見どころは多いですが、まずは大興奮バトルシーンが挙げられるでしょう。

作中設定では昔から忍者と極道が対立関係にあり、個人の武力では忍者が上とされています。

しかし最近になって開発された新型麻薬を服用することで、劣勢だった極道も忍者に匹敵する身体能力を得るようになりました。

こうして忍者の中でも最強の技を誇る8人「帝都八忍」、極道の中でも最強かつ新型麻薬でブーストした8人「破壊の八極道」が揃い、いつ終わるともしれない死闘がスタートするわけです。シノハ、キワミも両陣営の上位8人に含まれています。

お互いに普通の銃など効かない猛者ばかりですから、ほぼ勝負は肉弾戦と特殊スキルで決まります。

忍者側は自在に腕を伸ばす、敵を発火させる、凍らせる、電撃を体内で発生させるなど何でもアリ。生まれつきの特異体質と、常人なら死ぬほどの激しい修行で超人となっています。

極道側も麻薬で肉体強化した上に不死身の再生能力を手に入れ、さらに各自が極道技巧(ごくどうスキル)と呼ばれる固有技を持っているため、総合力では忍者に負けません。

戦いは基本的に極道が仕掛け、総理官邸に大軍で攻め込んだり、民間人が利用する水道水に麻薬を混ぜ込んだりやりたい放題。忍者を滅ぼすためなら巻き添えで何万人死のうと知ったことではないというスタンスです。

そんな敵有利の状況にシノハたちが乗り込み、帝都八忍vs破壊の八極道のバトルが展開されます。

あらゆる建物が破壊され、炎上・爆発し、血が飛び散り、生首も飛びまくる。男も女も意地を、誇りを、そして友情や愛情をかけて必死で戦う姿は凄惨ながら美しくも感じられます。

もう1つの見どころは、忍者と極道それぞれのキャラクター描写の深さでしょう。

特に敵である極道キャラの掘り下げが丁寧になされていて、なぜ彼/彼女は大勢を殺すテロを実行するような悪人になったかが描かれます。

悪党も元は多くが善良な一般人でしたが、不幸な事故や親の激しい虐待などにより「普通の人生」を諦めざるを得ませんでした。

社会からはじき出された者にも、よりどころが必要です。そうした人間を1つの組織にまとめ上げたのが、悪のカリスマ・キワミだったのです。

読んでいくうちに、極道は絶対許せない → あの極道にも悲惨な過去があったのか → それでもテロは許せないだろう ……と読者の心は大きく揺り動かされ、ときには悪党の死に際にも涙を流すことになるでしょう。

これは作中で極道を狩る忍者も同じ心情のようで、強敵を葬った後には「ブッ殺した」という定番せりふが出るのですが、相手の過去を知った状態だと表情がとても悲しげなのが印象的です。

互いの秘密を知らないまま敵勢力として戦い続けるシノハとキワミ、彼らを取り巻く濃密な人間模様、そして比類なきド派手な異能バトルシーン。

暴力とグロ描写が満載なので苦手な人には向かないかもしれませんが、個人的にはぜひとも読んでもらいたい素晴らしくハイテンションな作品です。

ついにアニメ化発表! あの危険な描写は大丈夫…?

卓越したセンスで連載当初から評価が高かった本作は、2025年2月に待望のアニメ化が発表されました。

この報せを受けてネット上のファンは大歓喜したのですが、同時に2つの懸念点もささやかれていました。

まず個性的すぎる言語センス。この作品はとにかく独自のせりふ回しが多く、実力(ジツリキ)、出発(デッパツ)、黄金時代(オウゴン)などが随所に出てきます。漫画だからルビを振って表現できていますが、これをアニメで違和感なく伝えるのはスタッフの力量が問われそうです。

もう1つが最大の難問で、そもそも現代のコンプライアンスでこの作品をまともに放送できるのか? という点です。

致死性の高い麻薬がストーリーの中心にある、主人公のよき理解者が次のエピソードでは挽き肉になって晒されている、幼い子供が親から凄絶な虐待を受ける、都知事や総理大臣やアメリカ大統領がテロ被害に遭う、極道が「児童臓物(ガキモツ)売捌(トバ)してええのか!?」と物騒な言葉を口走る……など、セーフかアウトかでいえば全編がほぼアウトな描写であふれています。

こうした表現に対してファンからは「アニメでも日和らずちゃんと描いてほしい」と要望が多く寄せられ、私も同じ気持ちです。

当然この部分はアニメ制作側もわかっているでしょうから、どんな形で完成して放送されるか、今から楽しみに待っていようと思います

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