この記事ではホテルの開業について説明します。
ホテルには様々な経営形態がありますが、今回はオーナー自身がホテルを運営する所有直営方式を例に解説していきます。 所有直営方式とはホテル経営の基本的な形で、運営母体の会社が土地と建物を所有し、運営する方式です。運営会社が不動産の所有者でもあるため、融資の際の金融機関の評価や社会的信用が高いのが特徴です。 所有直営方式のホテルには民宿など個人所有で運営しているケースもあります。しかし、大半が豊富な資金力がある大企業が母体となって運営を行っています。日本の著名なシティホテルの多くが所有直営方式で運営しています。 ホテル開業資金の目安は数億円
ホテル開業に必要な資金は数億円程度です。都心、駅近で客室も多くなると、数十億円単位となりますが、地方で駅から遠く客室15～20部屋程度であれば、開業資金を抑えることができます。 つまり、ホテル開業を考えたときに立地やセールスポイント、客層をどのように定めるかによって開業方針や必要な資金がまったく異なるということです。 さらにターゲットとした客層に満足いただけるくつろぎの空間を作り上げるためには、内装や装飾品などこだわりを追求していくこととなります。結果、理想のホテルを開業しようとすると、資金は増えがちです。 開業融資なら日本政策金融公庫ホテルを開業するにあたり、その必要資金は大変高額です。一般的には投資を受けたり、融資を受ける必要があります。 投資といってもその道のりは、大変困難を極めます。投資する側も経営ビジョンが共鳴できるものでなければ、大きな資金を投資しようとは考えません。さらに投資先は複数以上契約できたとしても、実際必要な開業資金が集まるとは限りません。 その点、政策金融機関である「日本政策金融公庫」であれば必要資金を借り入れする方法で、資金を調達することが可能です。融資を受ける条件としては、制度上は希望額に対して10分の1の自己資金が用意できれば、融資が実行されます。 銀行から融資を受ける場合は用意すべき自己資金のハードルが高く、これまでの経営実績や返済状況などチェックが細かく、ハードルは高いと言われています。そのため、初めてホテル開業を行う場合は、日本政策金融公庫が相談窓口としてはおすすめです。 開業までの流れ
それでは、開業までの流れを見ていきましょう。ホテルを開業するためには、綿密な計画が必要です。立地条件から始まり、チェックイン・チェックアウトの時間は何時にするのか。こられによってスタッフの勤務時間や必要人数が変わります。 ホテル内にどのようなレストランを開業して、どのようなメニュー、サービスを行うのか。これらはターゲットとする客層が明確でなければ、顧客が求めるニーズとかけ離れたホテルになってしまいます。 さらにホテル開業だけを目的としていては、のちのち経営が立ち行かなくなる可能性があります。開業する以上、必ず競合他社が存在するからです。宿泊プランやイベント情報、客層やそのニーズなど、データ収集は欠かせません。こうして、ようやく建設候補地が決められます。 物件取得ホテル開業の場合、なによりも物件や立地条件が重要です。眺望やアクセスを吟味して慎重に決定します。また、居抜き物件を活用することで初期投資を抑えることができます。単なる中古物件ではなく、そこには建設までに込められたコンセプトが豊富に表現されているはずです。 そのコンセプトが開業したいホテルのイメージに近い物件と出会うことができれば、これほど有益なことはありません。まず、大規模な建設費用を抑えることができます。削減した費用を人材採用や研修費に充てたり、リフォームや宣伝・広告費として力を入れることができます。 そして、開業までの時間を早めることができます。営業開始を早めることが融資返済開始を早めることにつながります。 コンセプト・ターゲット決めホテル開業を考える際に根幹となるのが、コンセプトです。事業計画とターゲティング、ホテルの強みやコンセプトを明確に定めます。オーナーとしての思いが込められたコンセプトは、さまざまなこだわりが表現されます。 それらはすべて顧客に満足していただくためです。しかし、ここで考えてほしいことがあります。はたしてそのオーナーのコンセプトが、「顧客」にとって必要とされているかどうかです。 数あるホテルの中から選んでいただいた顧客との縁は、大変貴重なものです。だからこそ、一方通行のコンセプトにならないよう注意すべきです。競合他社にはない真新しさで斬新なリフォームを行ったとしても、「それって、必要？」と思われてしまっては、自己満足の世界です。 改めてここまで解説してきたように、立地や客層に合った顧客ニーズを原点として捉えない限り、コンセプト倒れとなってしまいます。 内装工事室内の色味の統一感や、コンセプトにあったインテリアを選択し、内装工事を施行します。顧客にとってホテルに求める内装とは、どういったものでしょうか。主に、「快適性」「清潔感」「統一感」が挙げられます。 わざわざホテルに予約して宿泊する以上、自然と快適な空間を顧客は求めます。非日常的な空間で、日々の生活では味わうことができない快適さ。そしてストレスを一切感じさせない清潔さ。最後にホテルのコンセプトを感じさせる統一された内装。これらが集約されて、顧客が求める上質な空間を作り上げます。照明なども間接照明を活用することで、落ち着いた空間を演出します。 広告・宣伝新規開業時は広告宣伝も不可欠。ホテルの認知度を高めるためにも欠かせません。自社ホームページの立ち上げの際は、十分な効果が見込めるよう作り込まなければなりません。ホテル開業は時間との戦いでもあります。ホテルのホームページはそのホテルのイメージを大きくプロに外注することも一つの選択肢です。 また、SEOを意識したホームページでなければ、どんなに内容が優れていても埋もれてしまい、顧客に届きません。そういった意味でSEOやWebデザインに強い業者に委託することは大切です。 なお、ホームページだけでは集客力の向上にはやや物足りません。それほど今日はSNSが発達しました。SNSマーケティングを意識したキャンペーンや、ターゲットが検索しそうなハッシュタグを加えることで、第三者からの説得力のある宣伝効果が期待できます。 ホテル経営はコストがかかる
開業時の初期投資以外にも、ホテル経営には様々なランニングコストがかかります。開業時には余裕を持った資金繰りを意識しておきましょう。 ランニングコストは融資の返済だけでなく、ホテル宿泊管理システムの導入費用、リネン、消耗品、通信、光熱費、メンテナンスと様々です。そして大きなウエイトを占めるのが、人件費です。 しかしこの人件費は、ホテルのサービスを支える大切なコストです。サービスを充実させるためには、研修などでスキルアップを行う必要があります。すぐに効果が見られなくても、将来を見据えた人材を育てていかなければなりません。人件費を削減するのは最後の手段と心得ておきましょう。 経費の流れを把握するむやみに経費削減するべきではありませんが、月々の経費は明確に把握し、取捨選択する必要があります。ホテル開業時に定めたコンセプトを支えるためとはいえ、すべてに投資していくわけにはいきません。 営業利益は出ているのに、経営は赤字、増収減益という可能性もあります。経費削減は避けては通れませんが、削減方法を誤ってしまうと取り返しがつかなくなるケースがあります。それは、「顧客にマイナス」「従業員にマイナス」な経費削減です。 「顧客にとってマイナス」な対応としては、だとえば経費削減を意識し過ぎて、照明を暗くする、空調を切るなどの方法です。顧客が足を運びづらい時間帯だったとしても、照明や空調を切られているスペースがあった場合、顧客はどう感じるでしょうか。ホテルを楽しみにして宿泊した顧客の期待値を下回ることとなります。 そして、「従業員にマイナス」な対応としては、人件費を削減するため、少ない人数でオペレーションを回そうとする。また、売上の少ない月は給料を削るなどが挙げられます。先述した通り、人件費はホテルを支える大事なコストです。従業員あってのホテルサービス。従業員のモチベーションを維持させることも、ホテル経営に欠かせないポイントです。その結果は、顧客満足度に反映されます。 ホテルの開業時には漫画コーナー設置もおすすめ
ホテルの開業時には漫画コーナーも設置し、リラックススペースを作っておけば顧客満足度の向上が期待できます。ホテルのフリースペースに漫画コーナーを設置することで、顧客の期待を上回ることができ、インパクトも抜群です！ 「スマートコミック」は店舗・法人向けのコミックレンタルサービスです。
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