読めば思わず勉強したくてたまらなくなる! 学参にまつわるお仕事ドラマ『ガクサン』

学生時代、勉強に苦手意識を持っていた人は決して少なくないと思います。
日頃から子どもに「勉強しなさい」と口うるさくいうものの、自分自身のことを思い返すとあまり強く言えないと思う人もいるはず。それでも「大きくなって後悔してもらいたくない」からこそ、口を酸っぱくして言い続けているわけです。
そこで、「子どもたちに同じ経験をさせたくない」と願う親御さんのために、佐原実波先生の『ガクサン』をおすすめします。
サブカルミーハー女子と参考書オタクのお仕事コメディ
作品の舞台は、学習参考書出版社のいぶき社。同社に中途入社した茅野うるしが主人公です。配属先はお客様ご相談係で、正社員の内勤事務として働くことになっていました。
学参出版社にとって、新年度間近の3月末~4月は繁忙期。特に営業部はあちこちのフェアで忙しく、もぬけの殻になりがちです。その中で、人事部長による社内各部署の案内がてら入社挨拶をしていました。
そこに上司となる福山が現れ、「荷物をまとめて来い」という一言とともに、なかば強引に書店のフェア会場へと連れていかれるところから物語がはじまります。
福山は通称「参考書オタク」と言われている人物です。自社だけでなく他社の書籍にも詳しく、自身が参考書を有効活用して難関大学合格を果たしたこともあり、参考書の選び方や勉強法へのアドバイスは的を射ています。
ただ、向けられる言葉がストレートすぎて、グサッと突き刺さることもある点が玉にキズ。実際に、うるしもこれまでの職歴などから「単なるミーハー心で入ってきただけ」と喝破されるひとコマも。
その他にも、会場で参考書の質問をした中学生を泣かせたり、書店内で参考書を立ち読みをしたりと「社会人としてどうなんだろう?」と思われる行動があり、お互いに第一印象は良くなかったのではないでしょうか。
そんなふたりが、お客様ご相談係の仕事を通して成長していくお仕事コメディです。
『ガクサン』をおすすめする3つの理由とは?
1. 参考書の選び方・学習方法がよくわかる
最近はYoutubeなどの動画共有サイトで、塾講師が英語や数学などの入試問題を解説するチャンネルが多くあります。中には、10万人もしくはそれ以上のチャンネル登録者がいるところもあるようです。
しかし、学習の基礎は今も昔も参考書にあることはいうまでもありません。
作中では、学校でよく採用される参考書や人気の高い実在の参考書が紹介され、その売れている理由や使いやすい点が紹介されています。
「学参」と聞くと、高校生までの学生が中心と思う人も多いでしょう。しかし、作内には社会人の学びについて触れている描写も多いので、どの年代の人にも参考になるはずです。
2. 学習参考書を巡るさまざまなドラマが魅力的
教育課程(学校で教える内容)は、何年度かごとに大きく変わるのは皆さんご存知でしょう。しかし、新課程への移行プロセスについては意外と知られていません。
高校では段階的に変わるのに対し、小学校と中学校では一気に変わります。そのため旧課程から新課程に切り替わる時期は、両方の参考書を並べる必要があるなど、出版社・書店とも苦労が多い期間です。
こうした出版社(編集者)や書店にまつわるエピソードも、わかりやすく描かれています。
3. キャラクターそれぞれの人間ドラマ
お仕事マンガにおける魅力は、そこで働く人たちが仕事を通して成長していく様子です。
本作も例外ではなく、最初はどこか偏屈で近寄りがたい雰囲気のあった福山が、うるしとの出会いによって徐々に人間味を出していく過程が描かれています。
これは、うるしも同様です。
彼女は「何かに夢中になったことがない」ことがコンプレックスで、夢中になれるものを探していました。ミーハーな気質もあり、「編集者になりたい」など他職種に心が揺れ動く場面もありましたが、福山の一言で好きなものに気づきます。
これらのエピソードに代表される、仕事を通した人としての成長に比重が置かれている点も、おすすめしたいポイントのひとつです。
もっともっと成長したい人におすすめの一冊『ガクサン』
21年末から「週刊モーニング」(講談社)にて連載が始まった『ガクサン』。2022年12月22日からは、「コミックDAYS」に舞台を移して新たなスタートを切りました。
大人になっても、必要な知識・技能を身につける際など、勉強は必要とされます。しかし、そのことをわかっていても、つい日々の業務に忙殺されて流されてしまう経験を多くの人が持っているのではないでしょうか。
本作には、参考書の選び方・使いこなし方、最新の脳科学・心理学に基づいた勉強法が詳しく紹介されています。これらは、すでに社会人になっている人にも十分に役立つ内容です。
今からでも遅くありません。「まだまだ成長を諦めていない」という人は、ぜひ読んでみてください。
「あらためて勉強をはじめよう」と思える一冊です。