松屋銀座に9月、アニメ・漫画の新館「並木通り館」が開業!商業施設が“マンガフロア”を続々つくる理由
松屋銀座は2026年9月5日、銀座並木通りビルの1階から3階に新館「松屋銀座 並木通り館」をオープンします。目玉となるのは、2階と3階に誕生するアニメ・マンガ・ゲームの新拠点「ギンザミライミュージアム」(愛称ギンミラ)。銀座の老舗百貨店がフロアをまるごと使ってエンタメコンテンツの発信基地をつくるというニュースは、流通業界でも大きな話題になっています。
「百貨店とマンガ」という組み合わせは、少し前なら意外に感じられたかもしれません。しかし全国の商業施設を見渡すと、マンガ・アニメのフロアを新設する動きはここ数年で確実に広がっています。本記事では松屋銀座の新館の中身を整理したうえで、渋谷PARCOから有楽町マルイまで、商業施設が「マンガフロア」をつくってきた事例と、その狙いを読み解きます。
松屋銀座「並木通り館」とは。2フロアまるごとアニメ・マンガの拠点に
並木通り館が入るのは、松屋銀座本館からほど近い銀座並木通りビルです。1階はファッションブランドのアニエスベー(10月9日オープン)、2階と3階がギンザミライミュージアムという構成で、コンセプトには「最高の『トキ消費』『タイパ』を銀座から世界へ」を掲げています。アニメ、マンガ、ゲーム、キャラクター、音楽・アイドルまで、幅広いエンタメコンテンツを扱う施設です。
2階は展覧会場、3階は物販とコラボカフェ
2階は約316平方メートルの展覧会場で、アニメ・マンガ・ゲームなどのIP企画展を年間10本ほど開催する計画です。3階には約117平方メートルの物販会場と、約188平方メートルのコラボカフェを併設します。展覧会を観て、グッズを買い、作品コラボのカフェで余韻にひたる。そんな一連の体験がワンストップで完結する設計です。オープン第1弾としては、9月5日から「アニメ 天官賜福 展」などの開催が発表されています。
狙いはZ世代とインバウンドの開拓
松屋がこの新館に込めた狙いは、Z世代とインバウンドという新しい客層の獲得です。同社は5年後に銀座を「ジャパン・カルチャーの聖地」として世界に定着させることを掲げ、2029年度にはコンテンツ事業で売上高70億円を目指すと発表しています。百貨店の主要顧客の高齢化が進むなか、マンガやアニメを入り口に若い世代と海外のファンを銀座へ呼び込む、明確な成長戦略として位置づけられているわけです。
商業施設の「アニメ・マンガフロア」新設は、すでに大きな流れ
松屋銀座の取り組みは突然の思いつきではなく、商業施設の業界で数年かけて積み上がってきた流れの最新地点といえます。主な事例を時系列で見ていきましょう。
2019年・渋谷PARCO「CYBERSPACE SHIBUYA」
流れを決定づけたのは、2019年11月に建て替えオープンした渋谷PARCOです。6階フロア全体を「CYBERSPACE SHIBUYA」と名づけ、国内初の任天堂直営オフィシャルショップ「Nintendo TOKYO」、ポケモンセンターシブヤ、ジャンプショップなどを集結させました。ファッションビルのワンフロアをゲーム・マンガに明け渡した構成は開業当時大きな話題を呼び、今も国内外のファンでにぎわう看板フロアであり続けています。
2020年・心斎橋PARCO 6階
2020年11月に開業した心斎橋PARCOも、6階をジャパンカルチャーの発信フロアと位置づけました。スタジオジブリ作品のグッズを扱う「どんぐり共和国」や関西初の「ゴジラ・ストア」などキャラクターショップが並び、コラボカフェも併設。渋谷で証明された成功モデルを、西日本の旗艦店として関西に展開した形です。
2023年・アニメイト池袋本店が世界最大規模に
2023年3月には、アニメイト池袋本店が増床リニューアルし、世界最大規模のアニメショップとしてグランドオープンしました。売り場拡大に加えて、劇場「アニメイトシアター」を新設し、買い物と観劇・イベント参加をまとめて楽しめる施設に進化しています。物販の「売る場所」から、ファンが時間を過ごす「体験する場所」への転換を象徴する事例です。
2024年・SHIBUYA TSUTAYAはレンタルをやめてIP拠点へ
2024年4月にリニューアルオープンしたSHIBUYA TSUTAYAは、さらに踏み込みました。祖業ともいえるレンタルサービスを取りやめ、全館をIPコンテンツの体験拠点へ全面転換したのです。5階にはポケモンカードゲーム初の公認ラウンジ「POKÉMON CARD LOUNGE」を設けるなど、いわゆる推し活の需要に振り切った館づくりが話題になりました。
2025年・有楽町マルイ8階が約500坪のイベントフロアに
2025年10月には、有楽町マルイが8階フロアを大規模リニューアルしました。約500坪のフロアほぼすべてをイベント区画に転換し、大小6つの会場でアニメ・ゲーム・特撮のイベントをほぼ毎日開催する体制です。常設ショップではなく「入れ替わり続ける企画」でファンに何度も足を運んでもらうモデルで、松屋銀座のギンザミライミュージアムに最も近い先行事例といえます。
なぜ商業施設はマンガ・アニメに力を入れるのか
各施設に共通するキーワードは、松屋銀座も掲げる「トキ消費」です。たいていのモノがネットで買える時代に、わざわざリアルの施設へ足を運ぶ理由は「その時、その場所でしか味わえない体験」に移っています。会期限定の展覧会やコラボカフェは、期間を逃すと二度と体験できません。この「今しかない」が、来店動機として非常に強く働きます。
マンガ・アニメのファンが目的来店の客層であることも見逃せません。ふらりと立ち寄るのではなく、その企画のために電車を乗り継いで来て、グッズや飲食にもしっかりお金を使ってくれます。展覧会場と物販とカフェを同じ建物に重ねる構成が各地で定番化しているのは、この回遊をひとつの施設内で完結させる収益設計でもあります。
そしてインバウンドです。日本のマンガ・アニメは、海外のファンにとって来日の目的そのものになっています。銀座のように外国人観光客が集まる立地でジャパン・カルチャーを掲げることは、世界中のファンを相手にした商売を意味します。若年層との接点づくりと訪日客の取り込みを一度に狙える打ち手として、マンガ・アニメフロアは合理的な選択になっているのです。
商業施設のマンガ・アニメフロア新設 主な事例一覧
ここまで紹介した事例を一覧にまとめます。
| No. | オープン | 施設・フロア | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2019年11月 | 渋谷PARCO 6階「CYBERSPACE SHIBUYA」 | Nintendo TOKYO・ポケモンセンターシブヤ・ジャンプショップなどが集結 |
| 2 | 2020年11月 | 心斎橋PARCO 6階 | キャラクターショップとコラボカフェを集めたジャパンカルチャーフロア |
| 3 | 2023年3月 | アニメイト池袋本店 | 増床で世界最大規模のアニメショップに。劇場「アニメイトシアター」を併設 |
| 4 | 2024年4月 | SHIBUYA TSUTAYA | レンタルを取りやめIP体験拠点へ全面転換。ポケモンカード公認ラウンジも |
| 5 | 2025年10月 | 有楽町マルイ 8階 | 約500坪をイベントフロア化し、アニメ・ゲームの企画をほぼ毎日開催 |
| 6 | 2026年9月 | 松屋銀座 並木通り館「ギンザミライミュージアム」 | 展覧会場・物販・コラボカフェの3点セット。IP企画展を年間10本開催予定 |
個人の皆様へ。銀座で「マンガのある一日」を
並木通り館のオープンは9月5日です。開業を待つ間も、松屋銀座8階では人気作の展覧会がたびたび開催されており、銀座はマンガ・アニメと相性のいい街になりつつあります。買い物のついでに展覧会をのぞいて、帰り道に気になった作品をまとめ読みする。この秋は、そんな休日の過ごし方はいかがでしょうか。
施設運営者の皆様へ。「マンガが人を呼ぶ」は百貨店も証明済み
銀座の老舗百貨店が2フロアを投じてマンガ・アニメの拠点をつくる。この事実は、マンガというコンテンツの集客力が業界を越えて認められたことを意味します。ホテルや温浴施設、ネットカフェ、飲食店など、滞在時間そのものが価値になる施設にとって、マンガは費用対効果の高い集客装置のひとつです。
もっとも、展覧会やコラボカフェのような大がかりな投資は必要ありません。ロビーや待合スペースに話題作をそろえたマンガコーナーを置くだけでも、「もう少しここにいたい」という滞在理由をつくれます。スマートコミックは、法人・店舗向けにマンガの選書からコーナー設置までをワンストップで支援するコミックレンタルサービスです。話題の作品を軸にした棚づくりのご相談も承っていますので、まずは導入事例と料金プランをご覧ください。
