敬老の日特集|世代別で見る!おじいちゃん・おばあちゃんが夢中になった懐かしマンガ12選

敬老の日特集!おじいちゃんおばあちゃんが夢中になった!懐かしマンガ12選

9月15日の敬老の日は、長年にわたって社会を支えてくださった高齢者の方々への感謝を表す大切な日です。しかし、単に感謝を伝えるだけでなく、もっと深いコミュニケーションを取れたらと思いませんか?

実は、マンガは時代を映す鏡のような存在です。その時代の社会情勢、人々の価値観、夢や希望が色濃く反映されています。現在90代から60代の方々が青春時代に夢中になった作品を知ることで、彼らがどんな時代を生き抜いてきたのかが見えてきます。

戦後復興への不屈の精神、科学技術への憧れ、激動の時代を生き抜く熱い魂、そして未来への夢――。厚生労働省の調査によると、2023年の日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳となっており、多くの高齢者が豊かな人生経験を持っています。

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そこで、今回は【敬老の日に聞きたい懐かしマンガ】をテーマに、世代別に12作品を紹介します。

目次

1930年代生まれ編(90代)「戦後復興と希望の時代」

時代背景 焼け野原から立ち上がった不屈の精神

1930年代生まれの方々が青春を過ごしたのは、戦後復興の真っ只中。食糧難や物資不足の中でも、新しい日本を築こうとする希望に満ちた時代でした。進駐軍の存在、配給制度、復員兵の帰還、新憲法の制定など、激動の時代でしたが、「もう戦争はない」という安堵感と新しい国づくりへの期待に満ちていました。

1930年代生まれが夢中になったマンガ 3選

『のらくろ』(田河水泡/1931~1947年)

野良犬の黒吉が主人公の軍隊コメディ。厳しい状況でもユーモアを忘れない、当時の人々の強さが表現された作品です。困難を乗り越える知恵と仲間との絆が描かれ、戦後復興を支えた世代の心の支えとなりました。

『新宝島』(手塚治虫/1947年~不明)

1947年発表の手塚治虫代表作。映画のような動的表現で、戦後の子どもたちに夢と希望を与えた現代マンガの出発点。この作品をきっかけに手塚治虫ファンになった人も多く、日本マンガ界の歴史を語る上で欠かせない記念碑的な一冊となっています。

『サザエさん』(長谷川町子/1935~1945年

戦後の庶民の日常を温かく描いた4コマ漫画。配給制度や物不足の中でも、家族の絆と笑いを大切にする姿が印象的。何気ない日常の中にある小さな幸せを見つける術を教えてくれる、まさに戦後日本人の心の教科書といえるでしょう。

1940年代生まれ編(80代)「科学への憧れと未来への夢」

時代背景 高度経済成長とテクノロジーへの期待

1940年代生まれの方々が青春を迎えたのは、1960年代の高度経済成長期。東京オリンピック、新幹線開通、宇宙開発競争など、科学技術の進歩が日常生活を変えていく劇的な時代でした。高度経済成長により生活水準が向上し、テレビが普及。核家族化が進み、サラリーマン文化が定着しました。

1940年代生まれが夢中になったマンガ 3選

『鉄腕アトム』(手塚治虫/1952~1968年)

心を持つロボット・アトムが活躍するSF作品。科学技術への憧れと、人間とは何かを問いかける深いテーマが込められた名作です。今でいうAI問題を50年以上前から提起していた先見性は驚異的で、現代の私たちにも多くの示唆を与え続けています。

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『鉄人28号』(横山光輝/1956~1966

少年が操縦する巨大ロボットが悪と戦う物語。戦後復興期に生まれたロボットブームの火付け役となった記念すべき作品。リモコン操縦という発想は当時としては革新的で、後のロボットアニメブームの基礎を築きました。

『サイボーグ009』(石ノ森章太郎/1964~1998年

9人のサイボーグ戦士たちの戦いを描いた国際色豊かな作品。冷戦下の国際情勢も反映された、スケールの大きな物語です。世界各国出身の仲間たちとの友情は、国際化が進む現代にも通じる普遍的なメッセージを持っています。

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1950年代生まれ編(70代)「激動の青春と熱い魂」

時代背景 学生運動と高度経済成長の頂点

1950年代生まれの方々が青春を過ごしたのは、1960年代後半から70年代。学生運動が盛んで、大阪万博が開催され、高度経済成長が頂点に達した激動の時代でした。全共闘運動、ベトナム戦争反対デモ、公害問題の深刻化が起こる一方で、大阪万博の成功、カラーテレビの普及など、矛盾に満ちた時代でした。

1950年代生まれが夢中になったマンガ 3選

『巨人の星』(梶原一騎・川崎のぼる/1966~1971年)

星飛雄馬の野球にかける情熱を描いたスポーツマンガの金字塔。「根性」と「努力」がテーマの熱血作品で、当時の価値観を象徴しています。父親の厳格な指導と息子の成長を描いた親子関係は、現代の子育てを考える上でも興味深い視点を提供してくれます。

『あしたのジョー』(高森朝雄・ちばてつや/1967~1973

ドヤ街出身のジョーがボクシングで成り上がる物語。反骨精神と青春の燃焼を描いた、時代を代表する名作です。『燃え尽きるほどヒート』な生き方は多くの読者に感動を与え、今なお語り継がれる名シーンを数多く生み出しています。

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『ゲゲゲの鬼太郎』(水木しげる/1965~1998年

妖怪と人間の世界を描いた作品。急速な近代化が進む中で、日本の伝統文化や精神性への回帰を表現した独特な世界観が魅力。現代でも愛され続ける妖怪たちのキャラクター性は、日本の伝統的な価値観を現代に伝える架け橋的な役割を果たしています。

1960年代生まれ編(60代)「バブル前夜の夢と希望」

時代背景 経済成長と娯楽の多様化

1960年代生まれの方々が青春を迎えたのは、1980年代のバブル経済へ向かう成長期。ファミコンが登場し、娯楽が多様化した時代。終身雇用制度が安定し、「一億総中流」と言われた豊かさを実感できた世代です。ディスコブーム、アイドルブーム、ファミコンの登場など、現在につながる大衆文化の基盤が形成されました。

1960年代生まれが夢中になったマンガ 3選

『ドラえもん』(藤子・F・不二雄/1969~1996年)

未来からやってきたロボット・ドラえもんとのび太の友情を描いた国民的作品。ひみつ道具への憧れと、友情の大切さを教えてくれる永遠の名作。親子二世代、三世代にわたって愛され続ける稀有な存在で、家族みんなで楽しめる永遠のエンターテインメントです。

『キャプテン翼』(高橋陽一/1981~2024

サッカー少年・翼の成長を描いたスポーツマンガ。国際舞台への憧れと、夢を追いかける情熱を表現した作品で、日本のサッカーブームの火付け役となりました。サッカー日本代表の多くの選手がこの作品に影響を受けたと公言するほど、日本サッカー界に与えた影響は計り知れません。

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『北斗の拳』(武論尊・原哲夫/1983~1988年

核戦争後の世界を舞台にした格闘マンガ。「お前はもう死んでいる」の名セリフとともに、強さへの憧憬と男の美学を描いた代表作。『愛』をテーマにした壮大なドラマは格闘シーンの迫力と共に読者の心を掴み、多くの名言を生み出した文化的な名作です。

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マンガで知る昭和豆知識

マンガには当時の生活や社会制度がリアルに描かれています。作品を通じて、おじいちゃん・おばあちゃんの青春時代がどんな世界だったのかを覗いてみましょう。

『サザエさん』に登場する「配給制度」とは

戦後の物資不足を解決するため、政府が食料品や日用品を平等に分配する制度でした。米や砂糖、衣類まで配給券がないと買えません。サザエさんの4コマでも、配給の列に並ぶ描写がよく出てきます。「今日は何がもらえるかしら?」という会話が日常だった時代です。

『鉄腕アトム』の時代の「三種の神器」とは

1960年代、一般家庭が憧れた家電製品が「テレビ・洗濯機・冷蔵庫」です。アトムがテレビで放送されるようになったのも、まさにテレビが普及し始めた頃。当時はまだ白黒テレビで、一家に一台あることが豊かさの象徴でした。近所の人がテレビを見に来ることも珍しくありませんでした。

『あしたのジョー』の「ドヤ街」とは

日雇い労働者が集まる簡易宿泊所街のこと。東京では山谷、大阪では釜ヶ崎が有名でした。ジョーが住んでいた泪橋周辺も実在の地名。高度経済成長の陰で、日雇い労働に頼る人々が多くいた現実を、作品は鋭く描いています。

『キャプテン翼』時代の「一億総中流」とは

1980年代、日本人の大多数が「自分は中流階級」と感じていた時代を表す言葉。終身雇用制度が安定し、多くの家庭が豊かさを実感できました。翼のようにサッカーに打ち込める環境や、海外への憧れを抱けたのも、この経済的安定があったからこそです。

これらの豆知識を知っていると、マンガがもっと深く楽しめるだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんとの会話も盛り上がりそうですね!

まとめ – 敬老の日だからこそできるコミュニケーション

今回紹介した12作品で扱っているテーマ・描き方に違いはあるものの、どの作品にも共通しているメッセージが、時代を生き抜く強さと希望です。主人公は、取り上げた作品順に戦後復興期の庶民もいれば、科学技術に憧れる少年、激動の時代を生きるスポーツ選手、未来に夢を託す子どもたちと、主人公の立場は異なります。しかし、どの作品でも困難な状況の中でも希望を失わず、日常生活の中に喜びを見つけながら生きている描写がなされていました。

マンガを通じた世代間コミュニケーションの魅力は、単なる作品紹介を超えたところにあります。おじいちゃん・おばあちゃんが夢中になって読んでいたマンガには、その時代の空気感、価値観、そして生きる希望が込められています。

内閣府の令和3年度調査によると、世代間交流に「参加したい」と答える高齢者は約3人に1人(36.1%)に上る一方で、実際には7割以上が「参加していない」という現状があります。しかし、生きがいを感じる時として「孫など家族との団らんの時」を挙げる人が55.3%と最も多く、家族を通じた世代間交流への関心の高さが伺えます。

参考 | 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(概要版)8.世代間の交流・生きがい

敬老の日は、ただ感謝を伝えるだけでなく、世代を超えた理解を深める絶好の機会です。「どんなマンガを読んでいたの?」という何気ない質問から始まる会話が、家族の絆をより深いものにしてくれるはずです。

今年の敬老の日は、マンガという共通言語を使って、普段は聞けない貴重な体験談を聞いてみませんか?きっと、教科書では学べない「生きた歴史」に触れることができるでしょう。

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