離島での休息ドラマ『やさしいヒカリ』に癒やされる!

やさしいヒカリ

日々忙しさに追われる現代人ですが、そんな中で知らぬ間にいろいろと犠牲にしているものです。

読みかけの本、観たい映画、友人との飲み会なども忙しい仕事のせいで手がつけられないでいるのが現代人なのかもしれませんね。仕事だけは何があっても休めない、自分がやらなければ……そうやって身体や心を壊してしまう人も増えています。都会の疲れた心を持つ多くの人々にとって、癒しのドラマを求める声は年々高まっているようです。

今回ご紹介する『やさしいヒカリ』は、ブラック企業から離島に移住した主人公が、大切な経験を重ねていくハートフルな物語です。日本のスローライフマンガとして、多くの読者の共感を呼んでいます。

友人のツテで離島へ

過労で倒れた青年・三宅は、友人の実家があるという離島へ引っ越し、新しくできる簡易郵便局の局長を任されることになりました。隣はカフェで、高齢のオーナーが三宅に部屋を貸してくれたり食事を出してくれたりと、家族のように接してくれます。

そこには日和子(ひよこ)という女子高生が一緒に住んでいて、郵便配達のアルバイトもしています。島の生活の息吹を感じさせる美しい海の風景や、のどかな島の日常が丁寧に描かれています。

今までずっと何かに追われるように生きてきた三宅は、離島でのゆったりした暮らしの中で、さまざまなものに注目し、改めてありがたさを感じたりするのでした。

雨上がりにかかった虹、花の香り、潮の香りが混じる風、島の人々の温かな笑顔……これまで何ひとつじっくり味わってこなかったことに気付くのです。読者も自然とスローライフの魅力に引き込まれていくでしょう。

「三宅くんは間違ってなんかない」

ブラック企業で過労で倒れるまで働いていた三宅は、自己肯定感が低いようです。「俺なんかがいいのかな」という気持ちを持っていて、自分ではその持ち前の優しさや努力家なところ、決断力などには気付きません。

しかし日和子と一緒に過ごすことで、「三宅くんはすごいね」と言われたり、「三宅くんの代わりはたくさんいるよ」と諭されたりもします。心の癒しを求めていた三宅にとって、このような言葉はまさに命の水のようです。

高校生なのにしっかりしている日和子は、生まれた時に母親を亡くしていて、父親とも年に数回しか会わないという関係。彼女自身も心の傷を抱えながら、前向きに生きているのです。

三宅は気になりますが、果たして自分がそんなことまで聞いてもいいのかと迷います。それでも日和子は彼の人柄を信じ、「三宅くんは間違ってなんかない」と言ってくれるのです。

そのことに三宅はどれだけ救われたことでしょう。都会の生活に疲れた人々の心に、この言葉がどれだけ響くことでしょうか。

いつか忘れるくらいなら

離島には大学はありません。日和子も受験など考えてもいませんでしたが、ひょんなことから東京にオープンキャンパスを見に行くことに。

そこで写真というものと出会い、心は大学受験に向かいますが、合格すれば離島では暮らせなくなります。どうせ忘れられるなら、これ以上思い出は作りたくない。そう考えてしまうのでした。島の風景を写真に収める彼女の姿は、読者の心を揺さぶります。

三宅の東京の友人がいい感じで絡んできて、的確なアドバイスをしてくれるのが良いですね。それに、日和子の祖父や叔母もとても良くしてくれます。それが日和子には辛かったのでしょう。このような人間関係の機微が繊細に描かれています。

複雑な思いで大学受験をする日和子は……? そして微妙な心情になる三宅は……?

癒やしの物語が紡ぐもの

物語は次第に深まり、島の四季を通じて二人の関係性が変化していきます。春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の静けさ――それぞれの季節が二人に新たな気づきをもたらします。

特に印象的なのは、島の伝統的な祭りのシーン。地元の人々が総出で盛り上げる島の祭りに三宅が参加することで、彼はさらに島の一員として受け入れられていきます。日和子との関係も、この祭りを境に変化していくのです。

また、三宅が経営する郵便局には、さまざまな島民が訪れます。恋文を出す老夫婦、都会の孫に荷物を送る老人、友人との絆を確かめる手紙を出す少年など、手紙や郵便が繋ぐ人間関係が温かく描かれています。

そして最終的に、日和子の大学受験の結果が出る日。彼女の選択と三宅の決断が交錯する感動的なクライマックスは、読者の胸に深く刻まれることでしょう。

温かな気持ちが随所に散りばめられ、大切なことに気付かせてくれる本作は、弱った心のサプリメントとしても効用を発揮することでしょう。現代人の心の癒しを求める方々、スローライフに憧れる人々、そして人間関係に疲れた全ての人におすすめしたい一作です。

『やさしいヒカリ』は、都会の喧騒を離れ、離島での新生活を通じて本当の自分と向き合う姿を描いた珠玉の物語です。ぜひ、あなたも三宅と日和子の心温まる旅に出かけてみませんか?

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