小さい頃、働くおじさんやおばさんを紹介する教育番組が好きでした。 よく知っている身近にある職業でも、実際どんなふうに働いているのかを見たら知らなかったこといっぱい、かつ面白いことがたくさん。働く現場というのは、非常に好奇心をそそる興味深いものです。 今回はとある少女の目を通してパリで働く人々を描いた物語、『河畔の街のセリーヌ』をご紹介します。 パリに来た少女セリーヌがさまざまな仕事を体験する物語舞台は19世紀のフランス。 「多くのことを体験する」ために、パリにやってきた14歳の少女・セリーヌ・フランソワ。働いていたお店をクビになった彼女は、偶然出会った老紳士・ルネの本作りを手伝うことになります。 本を作るためにセリーヌが任されたのは、街でさまざまな職業を体験してルネに報告すること。 ルネの紹介で、お針子や女中、百貨店の販売員などいろいろな仕事をすることになるセリーヌ。職場で多くの人に出会い、目の前に起きていることを自身の目で見つめて考えながら学び成長していくのです。 働く人の悲喜こもごもが伝わってくる物語の中でセリーヌはいろいろな場所へ仕事をしに行き、働く人たちに出会います。 仕事上手なお針子さんや高額の売上げを出す販売員、病人を診る医者など、セリーヌが訪れる職場は千差万別。興味深い仕事もあれば、決して楽ではないように見える現場もあります。 とはいえ、どんな仕事もいいときや悪いときがあるもの。仕事にワクワクする人もいれば、困る人もいる。それは当たり前のことでしょう。 本作のセリーヌの目を通して伝わってくるのは、働く人たちの悲喜こもごも。仕事への思いや向き合い方は違えど、それぞれの在り方で忙しい毎日を送るパリの住民たち。彼らの姿がなにげなくもとても価値のあるものに思えるのです。 なお、仕事する人たちを見つめるセリーヌのまなざしも味わい深さがあります。「月から来たよう」と言われるちょっと浮世離れした感もある彼女は、喜怒哀楽をむやみに表に出さず、周りで起こることを落ち着いて受けとめていきます。 このセリーヌの聡明さもまた本作の魅力。思慮深い彼女の佇まいが物語に知性や秩序、しなやかな情緒をもたらしています。 パリの河畔で生きる人たちを描いた秀作パリを描いた漫画といえば、誰しもおそらく思い浮かぶに違いないのが『ベルサイユのばら』ではないでしょうか。 『河畔の街のセリーヌ』は、『ベルばら』で描かれたフランス革命の頃から100年近くを経た時代のお話で、革命や戦争などの歴史を重ねたフランスがどのような発展を遂げていくのかを垣間見ることができます。資産家たちや賃金労働者の人々が暮らす中、いわゆる職業婦人として仕事する女性の描写などが、読んでいて興味深いです。 激動の時代を華やかに描いた『ベルばら』は少女漫画史上に残る名作ですが、同じパリの河畔で素朴だけれど着実に生きる人々の姿を綴る本作もまた秀作。ぜひ、この情緒あふれるフランス発のお仕事体験記を一度楽しんでみてほしいです。 『河畔の街のセリーヌ』も店舗向け漫画リース「スマートコミック」でレンタル可能！店舗向けコミックレンタルサービス「スマートコミック」は、漫画コーナーを作りたいお店様へコミックの貸出・リースを行っています。 すべて料金内で付いてくる！ 「スマートコミック」のうれしいポイント
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