皆さんは幽霊や怨霊にどんなイメージをお持ちでしょうか? 「人間を呪い殺す」「狙われたら終わり」「霊能者しか対抗できない」といった、恐ろしい印象がほとんどだと思います。 今回はそんな怨霊の脅威に対し、まったく新しい立ち向かい方を教えてくれる話題作『サユリ』をご紹介します。 幸せな一家に降りかかる突然の悲劇主人公は中学3年生の神木 則雄。父親が念願のマイホームを購入し、姉と弟、両親、そして祖父母と見晴らしのいい一軒家に引っ越してきたところから物語は始まります。 築40年のちょっとボロめな中古物件ですが、家族がこれから楽しく暮らしていける……はずでした。 しかし引っ越しから間もなく父親が突然の病死。弟は就寝中にどこかへ失踪。祖父が急死。姉は絶叫して自分の舌を噛みちぎった直後に失踪。不幸の連続に疲れ果てた母親は首吊り自殺。 なんと、則雄と祖母を除いた家族みんなが去ってしまう事態になりました。昔は元気だった祖母も老いて認知機能が低下しており、誰にも頼ることができない最悪の状況です。そしてあちこちに現れる、不気味な怨霊の影。 はたして則雄は、この家で次々に厄災をもたらす「何か」から生き延びることはできるのでしょうか? 絶望からの大逆転――人間のチカラを思い知れ!ざっくり前半の流れをみるとバッドエンドしか予測できませんが、本作の見どころは読者を(良い意味で)裏切るストーリー構成にあります。 中盤までは謎の怨霊が神木家を強烈なホラー演出で追い詰めていくため、それに引っ張られて「霊はこわい」「ただの人間にできることはない」と諦めの気持ちになった読者は多いはず。 しかし一家全滅を覚悟したとき、ボケていた祖母の意識がいきなり覚醒します。かつて則雄たち家族を恐れさせた、こわくて強いばあちゃんが戻ってきました。 大切な家族に起きていた悲劇を知った祖母がとった行動は、逃げるのでも泣き崩れるのでもなく、元凶を見つけて打ち破ること。自分たちを不幸に巻き込んだツケを支払わせること。おばあちゃん強すぎます。 則雄 このままで…いいんか…? やられ損のままでいいんか… (第8話より引用)
ちゃぶ台で不敵にタバコをふかしつつ、主人公に言い放った祖母の姿は最高にハードボイルドでした。 まさにこのタバコの煙が反撃ののろし! 祖母は則雄に走り込みでの体力づくり、温かい食事でエネルギー補給、自宅内の徹底した掃除などを命じます。これらはすべて生きている人間だからできる営み。まずはしっかり生きて「命を濃くする」ことが大切だという持論があるのです。 家の中ではまだ怨霊がおそろしい姿でたびたび脅かしに来ますが、これも祖母は「ワシらの命の濃さに気圧されてる」と軽く一蹴。心を強く持てなかった他の家族は犠牲になったが、自分たち2人は生命力という武器があるから死者ごときに簡単には負けない……というわけです。 そうして身を守りながら過去の出来事を調べていき、ついに作品タイトルの由来にもなった一人の少女につき当たります。 かつてこの家で非業の死をとげ、成仏できず怨霊となった者。無関係な神木家のみんなを「幸せそうだから」という身勝手な理由で全滅に追い込もうとしていた者。 すさまじいハイテンションで盛り上がりをみせる後半のネタバレは極力伏せておきますが、霊能者でもない一般人の祖母と則雄がどのように怪異との決着をつけるかは最高の見どころです。 現実の私たちが霊に襲われる心配はまずありませんが、どうしようもない絶望の中でも「人間としてやれることを全力でやる」というタフな祖母の生き様は心に強く響くものがあります。生きていくうえでの勇気をもらえる作品といえますね。 鬼才タッグが生み出した実写映画版も好評ちなみに本作は、2024年に実写映画化が実現して国内外で上映され高い評価を受けています。 原作者の押切蓮介氏はもともとホラー漫画界の鬼才として名を馳せていますが、映画の監督をつとめた白石晃士氏もまたホラー映画界では鬼才と評される人物。近年の作品では『貞子vs伽椰子』が有名でしょうか。 過去の白石作品には「強い心をもった人間が怪異と真っ向勝負する」ストーリー展開があり、そんな意味でも『サユリ』実写化には最適な人物といえるでしょう。 なお、全2巻で出版されていた本作のコミックスは前半と後半のノリが正反対なのが特徴ですが、1巻の絶望感があまりに強すぎて2巻を読まなかった人も多いそうです。そこで後になって全話を1冊にまとめた『サユリ 完全版』が出版されているので、イッキ読みしたい人はこちらを選ぶと良いかもしれません。 全体的にホラー部分が尋常じゃない怖さなので苦手な人には向きませんが、そうでなければ圧倒的におもしろい傑作として広くおすすめできますよ! 『サユリ』も店舗向け漫画リース「スマートコミック」でレンタル可能!店舗向けコミックレンタルサービス「スマートコミック」は、漫画コーナーを作りたいお店様へコミックの貸出・リースを行っています。 すべて料金内で付いてくる! 「スマートコミック」のうれしいポイント
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